*及岩物語
□いつかちゃんと言うからね
1ページ/8ページ
岩ちゃんはかっこいい。
もちろん俺もかっこいいけど俺とは全然違う意味でかっこいい。
面倒見いいし、頼りになるし、
文句言いながらもワガママ聞いてくれる。
わかりづらいけど本当はすごく優しい。
そんな岩ちゃんがモテないわけがなくて、
部活中や放課後の帰り道で気付かれないように岩ちゃんを見つめる子を時々見かける。
俺のファンの子たちと違って前面に出て来ない所は岩ちゃんの優しさと似ている。
やっぱりそういう人にはそういう子がくるのかな。
しかも岩ちゃんは超がつくほど鈍感だから幸いにも視線にすら気付いていない。
まぁ、俺が先に気付いて先手を打っているのもあるけど…
でも、この時期はいつもと違う。
普段、勇気を出せない子たちがこの日にありったけの想いを込めてくる。
バレンタイン。
ここ最近は岩ちゃんに想いを寄せている女の子がいる気配はないけど油断出来ない。
だから今年は、今年こそは俺が岩ちゃんに想いを込めるんだ。
毎年チョコはあげてたけど今年は手作りに決めた。