*松花物語

□ねぇもしも
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「松さ」


「うん?」


「今日、告られたでしょ?」


「は?」



部活終わりのいつもの帰り道。


普段なら今夜のテレビ番組とか最近ハマっている漫画とか
とりとめのない会話をしながら帰るのに、
今日はずっと無言だったから何かあったのではないかと思っていた。


が、突拍子のないセリフに間の抜けた返答をしてしまう。


「花?何の話??」


「昼休み入ってすぐに隣のクラスの子から手紙もらってたじゃん」


「あー…」


購買に行ってから俺のクラスに来た花が、
何故それを知っているのか定かではないが


「あれはそういうんじゃないって」


まずは誤解をとくのが先だ。


「1年の時に同じクラスだった子で何回か教科書貸してたんだよ」


「何か渡されてたのは?」


「あれは、『そういえばお互いに番号とか知らなかったよね』って連絡先渡されたけど」


「ふーん」


「ただそれだけ。
及川じゃないんだからそんな展開になるわけないだろ」


「ふーん」



自分から話を振っておいて全く興味がないかのような返事。


「連絡するの?」


「別になー、用があるわけでもないしなー」


「ふーん」


興味がなさそうというより本当に興味がないのかもしれない。

もしかして嫉妬でもしてくれているのではと期待したのに
ただ単にからかいたかっただけなのか…


「…ねぇ、もしも」


公園の前で花が立ち止まる。

そして入り口を指差しながら言葉を続けた。


「もしも、ここから出てくる人が女の人だったら連絡しないで」


「え?」


別にそんな事言わなくても花が連絡するなと言えばしない。

言われなくてもしないけど。


「出てくる人が男の人だったらさ…




俺と付き合ってよ」
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