*国金物語

□嫉妬には特別扱いで返して下さい
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「でさ、
松川さんの言う通りのタイミングで踏み込んだら
すげーキレイにブロック出来たんだよ」


「へー」


まただ。
部活帰りはだいたい松川さんの話だ。

確かに松川さんのブロックは
プレッシャーすごいし威圧感ヤバいしさすがだと思う。

ただ、金田一がそれを出来るかどうかは
テクニックとかそういう問題じゃないんだよな。


つか何より、


「本当にすげーよなー。
しかも松川さんってさ、」


松川さんの話ばかりされるのが単純に腹立つ。

今、お前の隣にいるのは松川さんじゃねーだろ。


「お前さ、『松川さんみたいになりたい』とか思ってるだろ」


「そりゃ、だってすげーじゃん」


「じゃあ松川さんみたいな事言ってみろよ」


「松川さんみたいな事って?」


「よく花巻さんに「おいで」って言ってるじゃん」


「え…言ってるけど……」


「じゃあ言ってみろよ!
俺に「おいで」って言ってみろよ!」


「何でちょっとキレてんだよ!?」


「もういい。もう知らねー」



明日は花巻さんに八つ当たりだ。



「何だよ、何怒ってんだ?」


「お前が「おいで」って言わないから」


「えー……
じゃあ、どんな感じで言うのか松川さんに聞いてみる」


「何でわざわざ聞くんだよ!?」


「だって『わかんない事あったら何でも聞けよ』って言ってくれてるし」


「そういう意味で言ってんじゃねーだろ!」



明日は及川さんにも八つ当たりだ。
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