*国金物語

□ずっと待ってたんだから早く時差を埋めて来て
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「ねぇ、金田一くん。
国見くんって彼女いるの?」


「あー、多分いない」


こんな風に国見の事を聞かれるのは中学からずっとだ。

最初はちゃんと国見に聞いてから答えを伝えていたけど、
今はすっかり慣れてしまって誰に何を聞かれても「多分」を付けて答えている。

「多分」と言えば嘘にならないし、
毎日俺と登下校しているし休みの日は一緒に遊んでいるし
彼女がいるとか出来たとか聞いた事は一度もないから本当にいないと思うけど、
国見は気持ちを隠すのが上手いから念の為に「多分」を付けている。


「え?本当?
国見くん彼女いない?

じゃあさ、どんなタイプが好きなの?」


「さぁ…そういう話しないし」


前に聞いた事があるけど、
困ったように笑って「今は言わない」と言われた。
何だか悪い事をした気持ちになってそれからは聞いていない。


「えー、今度聞いてみてよ」


「私も国見くんの好み知りたーい」


「及川先輩はやっぱり彼女いるのー?」


「さぁ…及川さんはよくわかんねー。

つか国見の好み聞いても「特にない」とか言うと思うし
女子に対しては及川さんの方が優しいと思うぞ」


だからと言って及川さんの事を色々聞かれても困るけど。


「及川先輩がかっこよくて優しいのは当然でしょ!」


「国見くんは別の意味でかっこいいの!」


「てか、及川先輩とか国見くんと一緒にいて何で平気なわけ?緊張しないの?」


俺、何で怒られてんだろ…
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