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□雲を掴むような恋
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「雲を掴むような話だね」


ツナはいずれボンゴレ10代目としてファミリーを牽引するんだぜと言ったら、
クスリと笑いながらこんな事を言われた。

『雲』って恭弥自身の事だし
そんな言葉初めて聞いたし
てかそもそも俺の話聞いてくれてたんだと感動したし…


「それってどういう意味だ?」

「そのままの意味」


それがわからないから聞いているのに予想通りの返答だ。


「雲を掴むような話かー」


応接室の窓から見える空は突き抜けるほどの澄んだ青空で
綿菓子のかけらのような雲がふわりといくつか漂っている。


どんなに手を伸ばしても宙を切るだけで届きそうにない。
仮に届いたとしても形のない雲を掴むのは困難だ。

正式な意味は後で調べるとしてニュアンスは間違ってはいないだろう。


って事は恭弥の事も


「雲を掴むような恋だな」


届きそうになくて振り向いてくれそうにもない。
追いかけても追いつかないし次の瞬間にはその場所からいなくなる。

まるで雲を掴むようだ。


「何それ、あなたに雲を掴むような恋なんてあるの?」

「あ、いや、今のは」


無意識とはいえ思いっきり声に出してた…


「あなたならどんな相手でも手に入れられるだろ」


「………………」


これは……
誉めてくれてるんだよな?


「雲みたいな奴なんだよ」


さすがに気付くか?


「それでも問題ないだろ」


「何で?」


「だってあなた『跳ね馬』なんだから」
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