SAS♪BOOK

□DNA1
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あまっ…
雅紀の行為にどきっ、と心が弾んだ。
雅紀はずるい…
「おいしいね」
翔の小さすぎる声に気づくことなく、ぱくついた 。研究者である雅紀が、昨日から翔の家にいるのには理由があった。
櫻井翔。
DNA鑑定に詳しい研究所と警察の間で管理を請け負う。雅紀は詳しくなく、ひたすら研究を続けていて、常識に少し弱い。だからよくわからない。
ただ、
翔ちゃんは雅紀が化学者になった時から、
面倒をみてくれてる。
翔の家で一緒にお風呂に入ったり、逆にパスタを作って待ってたり。ご褒美のキスも翔ちゃんはくれた。
雅紀は血の繋がってないおにいちゃんである翔を家族のように愛していた。
そして彼は、
雅紀を「好きだよ」、と言ってくれたひと。
「家族とか友達じゃなくてさ」
「おれのものになって」
雅紀
今でも信じられないというように普通に振る舞う。だけど、
雅紀の脳には昨日翔が囁いた数々の言葉が宙に浮いては消えた。


Side M
昨日翔ちゃんがね、夢にでてきたの。
翔ちゃん、ぎゅううって強く抱きしめるからすごいどきどきした。
ぱっと離した瞬間、
翔ちゃんが「結婚するから雅紀には会えない」って、俺の目を強く見つめていったの…。
すごい聞くの怖かったし、聞きたくなんかなかった。もう会えないの?
しょーちゃん・・。
翔ちゃんは泣いた俺を抱きしめると、「俺かずがすきなんだ」って。

枕元を涙で濡らしながら目覚めると
勢いよく誰もいない家を飛びだし、翔ちゃん家に駆け込んだ。
真夜中、上着は羽織ってきたけど、1月の寒空をパジャマで走るつらさ
よりもかずにぃと翔ちゃんが遠くに行くことが怖かった。
翔ちゃん家の真っ白い建物に着くと翔ちゃんは血相を変えて玄関まで駆けてきた。
大好き。どこにも行かないで。
ただの夢だって言ってほしい。
俺の側にいてってたくさん伝えた。
「翔ちゃんがいなきゃ」
ばっと翔ちゃんは力強く抱きしめた。雅紀は泣きじゃくって訴えかけてたのに、ぴたりと静かになる。
「雅紀、好きだ」
耳元にそう確かに囁いた。「俺とお前で恋しよう」それってどういうこと?翔ちゃん、恋するの?
不安と疑問で頭をいっぱいにした雅紀に
「雅紀は誰か好き?」
「翔ちゃんだよー」
と翔ちゃんの頬にキスした。「後はね、ん!」
言いかけた雅紀の目の近くにキスした。


翔の部屋に入れてから、翔は雅紀にこう言った。

研究が好きで、研究で才能を見出だして勝手にライバルと
して見られることだってあった。俺には人懐こく接してくれる。可愛い弟。常識とか知らないところもいつだって明るい笑顔も魅力的ーー
そんな雅紀を好きだ
雅紀に恋をしている。
雅紀も俺に恋をして。

昨日翔とセックスをした。生まれてはじめての夜を翔と迎えられた喜びと、悩みすぎた頭は眠れなくて、こっそりシャワーを浴びにベッドを抜け出した。
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