小さな恋の蕾(夢)
□7の蕾
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「マストが倒れるぞー!!」
「逃げろー!!」
みんながみんな、散り散りに逃げようとする。
動けるやつはそれでいいかもしれない。
でも、動けない奴は?
生きているのに、怪我をして動けない奴はどうなる?
あのマストに押しつぶされたら、間違いなく死ぬ。
私みたいな夜兎ならともかく、普通の人間は絶対に助からない。
仲間を見捨てるの?
ここは戦場だから、それも仕方のないことだ。
余計な情は命取り。戦場で迷いは許されない。
それが、上の立場であればあるほど。
でも私は?
私なら、助けられる。
あんなマストぐらい、片手一本で支えられる。
だけど……。
「……助ける義理なんて、ないじゃない」