小さな恋の蕾(夢)
□9の蕾
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「……おい、そのへんにしとけ」
一瞬、我を忘れていた。
気がつくと、私はいつの間にか海賊に向かって拳を振り上げていたらしい。
それでも私が海賊を殴らずにいるのは、スモーカーが私の腕を掴んでいるからだ。
「……っ自分の部下を、簡単に犠牲に出来るやつなんか……人間じゃない……」
強く握り締めた拳から、痛みとともに血の滴る感触がした。
「…………。コイツらにはもう、戦意はねぇ」
私の腕を掴んでいるスモーカーの腕の力が、若干強くなった気がする。
すると海賊はスモーカーの言葉に便乗するように言い放った。
「そ、そうだそうだ!!既に戦意喪失してる敵に向かって殴りかかるたぁ、とんでもねぇ凶暴女だなぁ!!」
「……このっ!」
自然と腕に力が篭る。
スモーカーの腕を振り切って殴り飛ばしてやろうかと思った矢先……。
突然その海賊が吹っ飛んだ。