□2 〜ペンギンの苛立つ訳は?〜
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< ロー 視点 >



・・・今から逆上る事 数時間前。

甲板の手摺りに刀と共にもたれ、腕組みをし 島を背に立つロー。





ログを辿り一ヶ月振りに着いた島の裏手に船をつけ、俺は 偵察に行かせていたクルーから報告を受けていた。



「・・・・です。島の中心は大きな市場があり、かなり栄えています。海軍は常駐しておらず 裏通りに入りますと 海賊の姿がチラホラみられましたが、島の自衛団の力が強く治安は安定しているようです。 ログは2日で溜まります」



「そうか。 ペンギン!」



「はい。」


「今回の航海は長い方だったな。
この島では、ログが溜まるまで まるまる2日 上陸し、宿をとる。後はいつもの通り 頼む。」



「はい。」


ペンギン、あいつに任せておけば全てやってのける。
俺が絶対の信頼を寄せているクルーの一人だ。

ペンギンが クルーに細かな指示を出している間に 上陸前に 読みかけの医学書を片付けてしまいたい。


俺は、愛刀を肩に担ぎ
船長室へ向かった。





デカイ市場のある この島では 、新しい本が手に入りそうだ。















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甲板で、はしゃぐクルーたちを見るペンギン・・・・

PENGINと書かれた帽子を目深に被り 白いつなぎを着ている、船長のローから最も信頼されている男だ。



< ペンギン視点 >









今回は一ヶ月 海上だったから、皆のはしゃぎようが凄いな。



甲板では白いつなぎを着た集団のクルー達が、それぞれ騒いでいた。



特にシャチ・・・。



中でもキャスケット帽を被った
シャチと呼ばれている男が、クルーの中でも異色の "喋る熊" ベポに 絡んでいる姿が酷く、

ベポの首を脚で挟み ”ぶら下がりダンス”をしている。




アレではベポが可哀想だ。

ベポの目が虚ろになってきている。




そろそろ助けてやるか。






「シャチ!酒場を貸し切ってきてくれ。そこから 近い宿も頼む」



「おーっ!久しぶりの島だ!!
アレもコレも〜!できるところにしよう!よしっペンギン!俺に任せろ‼︎」




勢いよく船から飛び降り 走り去るシャチ。


駿足で通っているだけあって、あっという間に小さくなる後ろ姿。




「あぁ。・・・適任だ。」


その背中にむかい、届くことのない一言をつぶやく。











「ペンギン〜!」





シャチから解放されたベポが
ペンギンに走り寄る。



「首がね! ゲホッゲホッって〜」



悪い。

しばらく 見ていた。アレは流石に引いたな。







「ベポ。お前は俺と船の周りを探索だ。 後の者は、それぞれ分かれて 船の点検と舟番用の食材や必要物資を仕入れてくれ。 食料は この航海で底を突いた。

明日、本格的な買い出しに出る。
その偵察も兼ねておけ。」





「シャチが戻るまでに、急ぐぞ!」



「「「オーッ‼︎‼︎」」」
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