□4〜諜報(仮) 〜
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「まだ話してはもらえませんか?」

「・・・・。
欲しい"モノ"を見つけた。」


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船長のあの顔は・・・


欲しいモノ?
ろくな"モノ"じゃ無いな・・・



〈ペンギン視点〉


ローより先に船を降り、酒場に着いたペンギンは
酒場の入り口に立ち、隣接する宿を見上げ呟いた。


「ほう、シャチのヤツ
この島で一番の酒場と宿を確保したのか。」



その宿は5階建てで、周辺の建物の中でも高さを誇り、島を見渡せる創りになっていた。


- - -



俺は、ここへ来る途中にも
情報を集めていた。

一見平和な街も、夜になれば別の顔を表すものだ。


特に酒場の周辺、薄暗い路地には娼婦の姿もチラホラ見える。

情報は酒場や娼婦から仕入れることが多いからな。

娼婦の中でも身なりが整っているほど質の高い情報を得られるものだ。

早速一人の女と目があった。


「おにいさん。私とどう?」

妖艶な笑みで近寄り路地に誘い込む女。

赤いベルベットのリボンで腰を絞り、胸を強調したドレスを着ている。

挑発するかのようにリップ音をさせながら尖らせた唇には、ドレスと同じ真っ赤な口紅を引いていた。

それらがよく似合う美しい女だ。

アップにした髪がまだ整っている・・・今宵の客はとっていないようだな。


悪くない。


「そうだな。」

と、俺からも距離を詰め女の腰を抱き寄せる。

女は俺を見上げると、

「フフッ、やっぱり近くで見るといい男。私、男を見る目あるの」



と艶のある声で言った。




「お前ほどのいい女が、男にお世辞を言うのか?」

「あら、これは本心よ。ついね。貴方こそ、私を抱く気はあるの?それとも別の用事かしら?」


頭の切れる女は嫌いじゃ無い。

「話が分かるようだな。」


と、ツナギのポケットから札束を出し、何枚か女の胸の間に挟む。


「貴方のそのツナギ、
ハートの海・・・」

そう言いかけた女の口を、人差し指で塞ぎ

「詮索は無しだ。まだ死にたくは無いだろう?」


と、耳元で囁く。


「ええ、ただの憧れよ。こんな島にも大物が来るものね。」


物怖じしない女だ。


さあ・・・

駆け引きの始まりだな。



だが、主導権は渡さない。



「もういい、他をあたる。」


此処は一度引こう。


「待って、気を悪くしたの?」



そうだ、引き止めろ。



「お前からは ガセをつかまされそうだ。」



更に娼婦を突き放し路地から出ようとすると

「私はガセなど掴ませない。」


俺をまっすぐ見据えそう言い放つ。

「私の情報を買って。」

女の話し方が
甘く媚びるような口調から、冷たく透き通った響きへと変わった。



「!
・・・気に入った。お前ごと買おう。」





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