□2 〜ペンギンの苛立つ訳は?〜
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< 引き続きペン視点 >








何時ものことだ。


それぞれチームに分かれ素早く散る。



「ペンギン〜行くよ〜!」



ベポが先に船から降りて 叫ぶ。




「あぁ。 」


小さく返事をし、船を降りた。




島の裏側には、ウチの他にも船が停泊しているはずだ。


この辺りは 港がある訳でもなく、崖に面したような場所だ。

隠れることの出来る岩場が沢山ある。




そこに停泊させる船は、まともな船ではないことはたしかだ。




偵察組から、ある海賊団の名前を聞いた時、何故か無性にざわつくものがあり ここら一帯を自ら探索する事を決めた。




ベポは街では目立つ、一人?だけオレンジ色のつなぎを着ていることも原因の一つでは無いか?

他のクルー達の、上陸嬉しさに浮ついた気が落ち着くまで 買い出し組とは 行動を別にした方がイイだろう そう思い一緒に連れてきた。



今は目立たないよう探りを入れたい。



そう考えていると、ベポが岩陰に錨を下ろしている船を見つけた。



「ペンギン! 俺たちの他にも海賊船がいたよ!」



「あの旗は・・・」



やはり、先ほど報告のあった海賊団。



「・・・ブレーイン海賊団」



「ペンギン知っているの?」




この海賊団については、あの人に頼まれ 秘密裏に探りを入れていたのでベポは知らないはずだ。
報告を受けたのも 俺だけだ。







「あぁ、噂を聞いたことがある。」




高い懸賞金が付いている訳でもなく、力を持つものの集まりでもない。 だが、海軍にも 他の海賊にも潰されず この海を渡り歩いている。 噂では かなりの情報を持ち、裏の世界からバックアップを受けていると聞く。

時には島一つ消してしまうほどの
争いを起こさせ、大金を得ているようだ。

悪い噂しか聞かないが、全て噂の段階で消滅して行く。
もしかすると 記憶を操作できる能力者でもいるのではないか?

そんな力は厄介だ・・・

あの人は・・・船長は何を狙っている?まだ俺には船長の心中を察することができていない。





「・・・・・」




「ペンギン?」




「ベポっ 他にも何艘か停泊しているはずだ。 数を把握するためにもう少し奥まで行くぞ。」



「・・・いいの?」



「⁈・・・何がだ?⁈」


少し声が荒がる。





「すいません・・・」




項垂れるベポ。





「いやっ ・・・悪かった。行くぞ。」



ベポは ただ あの船を調べなくていいのか?と聞きたかっただけだろう。

なのに、船長の思惑を察することが できていない 苛立ちをベポに向けてしまった。




俺もまだまだだな・・・



その後、2隻の海賊船を確認し、
途中 ベポが果実と木の実を確保しながら船へと戻った。


買い出し組が何組か戻っていたが、シャチはまだのようだ。



「この果物美味しい〜。」


先ほど拾ってきた、かなり奇抜な色合いの果実を食べながら笑うベポ。

口の周りと手が真っ赤に染まっている・・・



「あっシャチ〜!お帰り〜!」





そこへ シャチが満足気な顔をして戻ってきた。





「シャチ〜!」




ベポ、その顔でシャチに飛びかかるな。
シャチが怯えている。


血まみれの熊が、襲いかかっているように見えるぞ。




あぁ 先ほどの仕返しか・・・?




「うわ〜っ‼︎ ベポッ‼︎何だその顔は‼︎‼︎ うぎゃ〜‼︎辞めろ!食うのか⁈ ”俺も” 食う気か⁈」


”俺も” とはなんだ?
誰が犠牲になった前提だ・・・




「シャチ浮かれすぎだ。報告を頼む。」



「ペンギン!俺が悪いのか⁈
なぁ⁈俺なのか⁈」




煩い。

見事に血まみれだな。




「早く報告を済ませ、着替えに行った方がいいんじゃないか?」



「おっおう!」


シャチの顔が急に青ざめた。




今、確実に船長の顔を思い浮かべたな。分かり易い。
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