Chains

□W.Fall in love
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宴までもう少し。
街もますます活気づき、楽しそうに作業に励む街の人々を見て私も心が躍る。

ただひとつだけ、心にひっかかってるものがある。
この間初めてみた隣国のお姫様。
フェイトちゃん。

月光に照らされ優しく微笑むフェイトちゃんを思い出す度に胸がきゅうっ、と締めつけられて苦しくなる。


「フェイトちゃん」

フェイトちゃんと初めて出逢った場所、中庭を臨む窓にそっと手を重ねる。

もう一度会いたい。
ちゃんと目を見てお話がしたい。友達になりたい。

「…ううん、違う」

友達じゃなくて、それ以上に、フェイトちゃんの特別になりたい。


どうしてこんなにも彼女のことが頭から離れないのか、あの優しい瞳が忘れられないのか。
これは、たぶんきっと恋、ってものなんだろう。
でも。この気持ちは、この想いは願っちゃいけないもので祝福されることのない気持ち。
相手は女の子だし、私のこの気持ちが国交に関わってしまうかもしれない。

「すき…」

たったに2文字なのにこんなにも甘美な響きを持った言葉。
心の底からあったかい気持ちが溢れ出る。


「なにが好きなん?」
「ひゃああ!?」


突然背後から聞こえてきた声に驚いて恐る恐る振り返るとそこにはにやにやと笑っているはやてちゃんがいた。


「なんだぁ、はやてちゃんかぁ」

はー、びっくりした、と胸をなでおろす。

「んで、なにが好きなん?」
「っ、な、なんでもないよ!?」
「会うたんやろ?」
「え…?」

それまでの表情とは一変して真剣な面持ちではっきりと言った。

「フェイトちゃんと会うたんやろ?」

私はそんなはやてちゃんに気圧されてこくりと頷いた。


それを確認したはやてちゃんはいつもの無邪気な笑顔でにっ、と笑って

「それなら万事おーけーや!宴、楽しみにしときぃ」

ひらひらと手を振って部屋から出ていった。

「え。ちょ。はやてちゃん!?」

もうっ。意味が分からないよ〜
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