mein *テニスの王子様-長編-*

□やんちゃな子程寂しがり。[猫と一緒にダイブした。]
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「ただいま。」
季人が帰って来た。
「おかえり…あのさ…さっきはごめん…」
「んな顔すんな。お前はお前らしく笑ってろ。」
季人はしたこともないニカッと笑みを浮かべると私の髪の毛がボサボサになるくらい頭を撫でた。
「だって…迷惑かけちゃったから…」
私がそう言うと一瞬季人は驚いた顔を見せた。
けど、その顔はどんどん緩みまた優しい笑みに変わった。
「天音に迷惑かけられんのは慣れてるよ」
季人は皆がいないことを確認してから優しく抱き締めてくれた。
それと同時に私の視界は大きな季人の服の胸元を暖かく、冷たいものが歪ませた。
「何泣いてんだ…ばーか。」
「泣いてないっ」
からかった様に笑う季人に反抗的な態度を取ると季人は優しく頭を撫でてくれた。
でも、その幸せなのかそうではないのかわからないひと時はすぐに終わった。

白石「えー…と…?何や…二人てそういうことする関係なん…?」
いつも通りのボケ真顔で(冗談で聞いているけど表情は真剣な事。)問いかけてきた白石さん。

「ち、違うんですよっ?こ、これはただ…その…」
急に恥ずかしくなってきた私は顔が勝手にどんどんと下を向くのがわかった。

小春「隠さへんでもええのに〜!」
ニコニコしながら春るんが抱きついた。
「ち、違うんだよ!春るん!これは誤解なの!」

私が必死に春るんの腕を握ると
春るんは自信有り気に「分かっとるって!ほんの冗談やで?そ・れ・に、ウチと天音ちゃんの仲では隠し事は無しやん?何かあったら真っ先に教えあう約束したやん!」と笑い言ってくれた。
やっぱり私の心友は春るんだけだ。

財前「そんな事より、あんたらのその状態、キモいっスわ。早く離れてもらえませんか?」

財前がキモいと言っている状態とは、私が季人に抱き締められて、春るんが私に抱き付いて、私が春るんの腕を掴んでいるような状態。
財前も厳しい言い方しないでもうちょっと優しく言えないのかな…?

侑士「嫉妬でもしとるん?」
にこやか…というよりはニヤニヤしながら侑士先輩が財前に向かって放った。

財前「ち、ちゃいます。そんなんじゃありません。」

焦る財前。
初めて見たかも…財前が焦る所…。
あ、感心してる場合じゃなかった…。
私は二人から離れた。
季人は何の感情もない表情してるけど、春るんは寂しそうに眉尻を下げて私を見つめた。
春るんとは久しぶりに会って久しぶりに抱き合ったから…私も少し寂しかったりする。

すると金ちゃんが何やら言いたげに突っ立っていた。
「どうしたの?金ちゃん」
私がそう問うと金ちゃんは待ってましたと言うように大きな声で告げた。

遠山「天音〜、ワイ腹減った〜!」
お腹をさすりながら告げる金ちゃん。
まるで子供みたい。
私は心の中で微笑むと夜ご飯がまだだったことを忘れていた。

「じゃあ、皆で一緒に夜ご飯の買い物に行こう!」

私は大きな声で言っては黒いカーディガンを取り出し羽織った。
 

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