小牧幹久

□#2
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午後の格闘技訓練。

「笠原…あたし達じゃあんたの相手は無理よ……」

あっちの方で誰かがそう言っているのが聞こえた。

『(そうやって弱音を吐くからできるものも
 できなくなるんだよ)』

水季は心の中で呟いた。

「そっか……あっ、そこの女子!あたしと組まない?」


一瞬、誰のことを言っているのかわからなかった。

けれど、声を発した張本人━笠原さん━が
私の肩を叩いた。

そこの女子=私、と理解できた。

『えっ!?私なんかでよければ…』

「いいのいいの!それにあたしが組んだことない女子だし!」

『はぁ………』

水季は曖昧な返事をした。

「あたしは笠原郁!…今更だけどよろしくね?」

『私は桜井水季です。よろしくおねがいします。』


「えーっと……あたしと歳が近そうだしタメで
 いよ?実はあたし敬語が二ガテなんだ……」 


『はい…じゃなくて、うん、わかった!
 じゃあ…組もっか!(教官が怖いし;)』

「りょーかいっ!手加減はしないよ!」


手加減はしない、と言った郁だが……

勝ったのは水季だった。

『(……昔、教えてもらったからなー)』

水季がこう思っていることを誰も知らないのであった。


その後他の女子と組んでいたけど、体力が
なくなってきて投げられる回数が多くなってきた。

『(まぁ受け身の練習になるからいっか…)』

そんな呑気なことを考えながらも
投げられ続けている水季であった。
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