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□蒼天の進士
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1話:物語の始まり


桜洲国(おうしゅうこく)。全9つの地域からなる、歴史長い王政国家だ。

中央の地域を壱ノ州(いちのしゅう)とし、その周囲を囲むように弐(に)ノ州、参(さん)ノ州、肆(よん)ノ州、伍(ご)ノ州、陸(ろく)ノ州、漆(しち)ノ州、捌(はち)ノ州、玖(きゅう)ノ州が位置している。
壱ノ州に城があり、その城内では王族が住み、また官吏と呼ばれる国の政を担う者たちが集まっている。

ここで、桜洲国の仕組みを説明しておこう。
国民は、大きく二分されている。
農民、商人、技術者などの『平民』と呼ばれる者と、その者たちを金で雇い、富に恵まれた『貴族』と呼ばれる者だ。
そして、そのどちらにも入らない特別な存在が王族となっている。
桜洲国の政治は、主に王族の頂点に君臨する国王を中心に、官吏と呼ばれる職に就く者たちとで行われている。
官吏になるには、毎年何万とも言われる倍率の中、数多くの書物、歴史、知識から問われる国試に合格しなければならない。
国試は、平民・貴族関係なく受けることが出来るが、国試に合格する多くは貴族出身だった。
というのも、貴族は一族の名誉をかけて大金をつぎ込み、家庭教師を雇って国試の訓練を幼い頃からさせているからだ。
官吏になれば、給与はさることながら、他の貴族よりも更に位が上がり、王族のお気に入りともなれば、婚姻し王族になれる可能性すらあった。
ただ、官吏と王族との婚姻は暗黙の禁忌とされている。王族になった官吏は自然に官位を剥奪され、王族になるため、政に関与する機会がなくなるのである。
王族と言っても、政に関与できるのは実質国王だけといっていいだろう。

さて、ここでもう少し官吏について説明しておく。


 

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