恋、しちゃった。

□初対面
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俺の、初めて好きになった女の子。


それは他の子とは
少し違かった。












中2の、バスケを始めて
一軍に上がってからしばらく経つ頃。



一軍の部員が外周に行っている間

桃井がある子をマネージャーに、と連れてきた。







「ねー、赤司くん!

あむをマネージャーとして誘ってたの!
断られてたけど…
今日1日だけ、って来てくれたから
マネージャー体験させてもいいかな?」


「………ほう」




『あ、月森 あむって言います…』



そう言って赤司に お辞儀する。



「名前は聞いたことがある。

今日はよろしく」






赤司が握手を求め、
あむが恐る恐る手を握り返すと
他のメンバーが外周から帰ってきた。









「さつきー、誰だ?そいつ」

「青峰、人に向かって指を指すな」


「あーーお腹空いたしー…。

って本当だ、知らない子がいるー」





続々と青や緑、紫の頭の長身が
体育館に入ってきた。
その中には吐きそうになっている水色の子もいた。





「ああ、この人は

月森あむさん、
今日一日、マネージャーの体験に」






入り口に背を向けていたあむは
部員が帰ってきたのでくるっと振り返ると、






「ーーーーっ…!」





みんなあむを見て言葉を失った。






「おぉ…すげぇ可愛いな、あいつ」


「ひ、人の顔をジロジロ見てはいけないのだよ」


「可愛いーけど、お菓子持ってねーしあいつ」



コソコソと話をするカラフルな男達。





その中で、
黄瀬だけは呆然としていた。





(噂のあむって子…かな。

俺が会った中で断トツ美少女じゃないっスか…?)






と頭の中で色々思い浮かぶ。


噂で、と言うのは
一軍の他のメンバーが話しているのを
聞いたことがあったのだ。






ーーーーーーーーーー


「なぁ、学校で1番可愛い奴って
やっぱ月森さんかな」


「そりゃ、そうだろ!

可愛いし友達も多いし。
こないだサッカー部の田中も、告ったらしいぜ!」


「いいよなー、あんな可愛い子と
お近づきになりてぇよ」


「でもよ田中、振られたらしいぞ?

月森さん、男に興味ないらしい」


「まじかーー、希望ねぇな」



………………………






なんてくだらない会話を聞いていた黄瀬は、
興味こそあったが
見に行く程度では無いだろう、と
考えていたのだった。










赤司との会話が終わり、桃井と共に更衣室へ向かうあむに
黄瀬は話しかけた。





「ね、君!

あむちゃんでしょ??」




『そーですけど、何か…?』



と、あむは冷たい目線を
黄瀬に向けた。


「なんでそんな顔するんスか!


あ、俺 黄瀬 涼太 って言うっス!!

モデルの黄瀬涼太、って言えば
わかるっスかね?」



ニコッと笑いかければ
大抵の女の子は顔を赤くし、
イチコロのはず。



でも、あむは





『…なんか、ムカつく』


「ええええーーーーっ!?!?」



ずっと眉間に皺を寄せ、
黄瀬の挨拶を聞いていたが

どうも気に食わなかったようだ。



「会って初めての人に
その返しってどうなんスか!」


『いや、他の人にはちゃんと返すよ』

「もっとショック受けるっス!」


うぅ…としょんぼりする黄瀬に




「黄瀬ぇ、振られたのかぁ?」


と青髪のガングロが黄瀬に肩を組む。


「ちげーっスよ、青峰っち!

挨拶してただけっスから!!」




話を聞く中で、
ガングロの名前が 青峰 ということが
わかった。






すると、あむは背を向け
更衣室に向かって再び歩こうとする。


桃井はずっとあむを待っていて、
話を聞いているのだ。



『さつき、ごめん待たせて』


「ううん、あむが悪いんじゃないし。

きーちゃんがいけないもん」


おそらく、きーちゃん というのは
黄瀬のことだろう。


そう思いながらあむは
桃井に付いて行くのだ。








「ねー青峰っち」

「あ?」

「あむっち、可愛いっスね」

「俺はもう少し胸が欲しいとこだけどな」





そんな会話をしていることを
あむは知るはずもない。
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