□Real feeling
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「……はぁ…」







女部屋に戻った私はベッドに寝転がり、サンジ君のことを思い浮かべながら目を閉じる。


そうすると、頭の中で色んなものが広がって行く。



サンジ君の綻んだ顔。



怒った顔、真剣な顔。





見ているだけでも十分だと思ってた昔とは違い。



今はもう、少しの時間顔を見てないだけで寂しい気持ちになるくらい、サンジ君が恋しい。





たった数分、たった数距離だけなのに。







「側にいたい」って思っちゃうな。







私、こんなに彼のこと好きになってたんだ…。






「……サンジ君……」




部屋の中、小さな声でポツリ、彼の名前を呼ぶ。











「…何?」




「!!!」




目を開けてベッドから飛び起きると、なぜかサンジ君がいた。




「サササ サンジ君!!?は、入るならノックしてよっ!!」




「ご、ごめんっ、一応…してから入ったんだけど…」




「え…!そ、そうだったの…!?」




私、ノックの音にも気がつかないくらいボーッとしてたんだ…!!


何だか余計に意識しちゃって上手く話せない…。




「ツバキちゃんもまたキッチンに来てよ。君の好きなものでデザート作ったから」



「…本当…!」




“デザート”と言う言葉に、思わず頬が緩んだ。




きっとナミの序でだろうってことはだいたい分かっていた。


それでも、私の好きなもので作ったって言われたことが嬉しくて。


ついつい浮かれてしまう。




「ほら、行こう?」




「………」








……でも、サンジ君。








今は私、デザートよりも






“サンジ君が”














「 欲しいの… 」











「……今、…なんて…?」




「……………え?…」





サンジ君は驚いた顔してる。







「“ サンジ君が欲しい ”って言ったよね…?」








「!!!!!」




私っ、今声に出てた?!!




「え、え…えっと、今のはその…!!欲しいって言うかっ…!なんて言うか…ッ!!」





何てごまかせばいいか分からなくて、ただ慌てふためくしかなかった。



そんな私の反応を見て、サンジ君は眉間にシワを作り真剣な顔つきになる。





「それって、俺を好きってこと…?」





「………ッ」




「期待していいの?」




いつもと違う真っ直ぐな顔、いつもと違う低い声。



でも、いつもと同じ、優しい瞳。




そんな彼の姿にドキドキしちゃって、やっぱり敵わないって思う。








「…好き、です」







そう言うと、表情はコロッと笑顔に変わって、私を強くと抱きしめてくれた。









「俺も好き」






って、囁いて。








私のことを割れ物かのように優しく抱くサンジ君に、もっと好きになっていく。






もう見てるだけだったの毎日は変わり、一番側にいられるようになった。




これからも、ずっと側に。



Fin.

 


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