表
□Real feeling
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ツバキちゃんはあの後、思い詰めたような顔をして、キッチンを出ていった。
俺は皿洗いを終えて夜飯を考えていると、入口にナミさんがいた。
「あれ?ナミさん」
「サンジ君」
見透かしているような目でナミさんは言った。
「サンジ君って、ツバキのことどう思ってんの?」
「え?…そりゃあもちろん好きだけど…」
「その“普通の好き”じゃなくて…、『一人の女の子』としてよ。どうなの?」
「………」
俺の引きつったように笑う顔を見たナミさんは、ニヤリと小悪魔っぽい表情で言葉を返す。
「その反応だと、“好き”みたいね?」
「い…いや…」
俺はごまかしに窓の外の海を見た。
「でも、俺ツバキちゃんに、そんなに好かれてないし…」
「…は…?」
彼女は確かによく顔を紅くしたり、俺を見る視線が妙に熱っぽかったり。
でもそれは俺がそう思い込んでるだけで、彼女はそんな風に俺を見てるわけ…ない。
「何で鈍いの、あんた達」
ナミさんは深いため息をついた後、いつものねだるような瞳で言う。
「サンジ君、私デザートが食べたい気分なんだけど?」
「ナミさん、はい!!喜んで!!♡」
「それで、ツバキの分も、もちろん作ってよね」
「…えっ」
そして表情はコロッと小悪魔みたいな笑みに変わった。
「きっとツバキ、喜ぶでしょうね〜」
そう言い残して部屋を出ていくナミさん。
「…………」
ツバキちゃんが……俺の作ったデザートで喜んでくれる…!!
最後の一言に、俺の気持ちは高ぶった。
彼女が喜んでくれるなら、俺は全力でデザートを作る!!