□カラフル
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それから何時間か眠っていたようだ。
目を覚ますと頭の痛みが大分引いている。
きっとチョッパーが飲ませてくれた薬が効いたのだろう。

しかし副作用なのか熱のせいなのか、とても起き上がる気にもなれないし、眠気が強い。

このままもう一度眠ろうか。
そう考えていると、コンコンっとドアをノックする音が聞こえた。

「はい…?どうぞ」

ガチャリと言う音を後に、ゆっくりドアが開いた。

「ごめん、起こした?」
「ううん、丁度起きたところ」
「そっか。腹は減ってるかい?」

サンジくんは医務室に入ると、お盆を片手に、近くの椅子に座る。
お粥を作ってくれたようだ。

白と黄色が混ざり合う卵粥は、ホカホカでとても温かそう。
少し離れていても感じる、出汁の香りが食欲を擽る。

そう言えばお腹が空いているような気がする。

サンジくんはそれをスプーンで掬うと、ふーっと冷ますように息を吹きかけ、私に差し出した。

「はい」

これが所謂“あーん”状態か。

「え?!いいよ…!自分で食べれるし…!」

恥ずかしいと遠慮しても、サンジくんは「ダメ」と言って引かない様子。

私は、意を決してスプーンの上のお粥を口に迎え入れた。
玉子の甘味とちょっぴりの塩っ気が絶妙に合わさっている。

「…美味しい…!」

私はサンジくんに視線を向けて言った。
彼の料理には自然と頬が緩む。
サンジくんも微笑んで、私の額に手を伸ばした。

「まだ温いな…」
「薬効いてきたばかりだからね」
「そうだな…」

額に当てていた手を頭に移し、優しく撫でてくれる。

「実は君に話したいことがある」
「?」
「明日の夜8時、キッチンで待ってるから」
「明日…?」
「うん。…じゃあ、お大事に」

そう言ってお粥を残し、医務室を出て行った。

(二人とも…、話って何だろう…)

私は消化されないモヤモヤと、頬が熱くなる感覚を覚えながら、残りのお粥を食べ進めた。

 
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