□兎遊び
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何も知らない小動物は意地悪気に笑ってきて言った。

「ホントに?何か悩み事があるんじゃないですか?」

こいつ、自分がどうゆう立場にいるのか分かってねェらしい。

月を見るより飽きはしない。

「ああ、そうだな。まさかツバキが“あんなこと”言うなんてな」

軽く遠回しに言ってみると、面白いことにツバキは目を泳がせた。


もっとはっきり言ったら、どんな顔する?


「あ、あんなことって…」

「『一緒にいたい』ってやつ」

すると、案の定ツバキは頬を紅く染めて慌て出す。

何でお前はこんなに分かりやすいんだ?


「わわ、忘れてると思ったのに…!!」

「馬鹿…、忘れる訳ねェだろ」


ツバキはきっと恥ずかしくなったんだろう。

海を見てるわけでもねェ。

もっと下、足下を見るように下を向いて黙り混んだ。


俺は…いったい、何を考えてるんだろうな。


「ひゃあっ…!?な、なな何…?!」

「あ?こう言うことじゃねェのか?」

月明かりで天使の輪が作られた綺麗な長い髪に手を乗せる。

撫でてやると、ツバキは完全に静かになった。

そのまま引き寄せ、肩に寄りかからせて撫で続けても、身動き一つとらない。

こうなりゃ本当に兎だな…。


俺はツバキの髪を後ろから下に引っ張って顔を上に向かせる。

そして、ゆっくり。


唇を重ねた。


緊張してるのか、固く口を閉ざしている。

少しでも口を開けば、そのまま舌を捩じ込ませたが…。

軽く噛むように甘噛みをすると、ツバキは鼻にかかった声を小さく出した。

意外と可愛いとこあるじゃねェか…。


「ほら、もう寝ろ…な?」


それが、俺が言った最後の言葉。

キスを終わらせてツバキを見ると、照れたように目を反らした。


丸いその瞳は、俺をどう映す?

一瞬でも“狼”のように見えればいい。


これがお前への罠だってことに。


なぁ。


気づけよ。



狼に喰われる兎のように。


小さな体で俺を恐れろ。





To be Continued…?

 


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