□狼男
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何日か経ち、やっと次の島に着いた。

あいつ等は朝からはしゃぎっぱなし。

フランキーはサニー号を少し修理すると船に残った。

他のやつ等で船を降りたはいいが…。


「あいつ等また はぐれやがって…」

気がつくと独りになっていた。

街の中は明るく賑わう。


そういやあ、ツバキのやつも街に来る度にはしゃいでたっけな。

思い出したら笑えて来…。


いや、何でだよ。

少し考えすぎだ。

「はぁ…」

イライラする。


店の並んだ通路を歩いていると、曲がり角で人とぶつかった。

「あ!ごめんなさ…」

聞いたことのある声が俺の耳に響く。

まさかと思ったが、ぶつかったもの見た瞬間、ドクッ…と深く鼓動が鳴る。


風に靡く髪。

ガキみてェな顔。


何で…ここに…。

「ツバキッ…」


「ゾロ、さん…」

久しぶりの声に名前を呼ばれ、体が固まった。


「久しぶりだな…。元気か…?」

「え?」


俺は何言ってんだ。

口から出た台詞はそんなものだった。

柄にもねェ…。


「ま、まあ…」

「…そうか」

それ以上会話は進むこともなく、曲がり角の真ん中で呆然と立ち尽くしていた。

しかし、見たところ普通だな。特に変わった様子もねェし、前と同じ小動物のまま。

ただ、服が妙に小綺麗なのと、船を降りた島から離れた島にいることが引っかかるが…。


「…船降りて行くとこあんのか?」

俺は変な空気を破るように言葉を口にする。

「えっと、特に…」

そんな彼女の一言になぜか安堵した。

そして俺の頭に浮かんだ。


それならいっそ、戻ればいい、と。


「なら戻って来いよ。あいつ等もお前に会いたがってたしな」


…って、何だよ…。

何で俺はそんなこと言ってんだ?

いつもまとわりついて来て、鬱陶しかったのがやっと開放されたってのに。

いや、まあ…少し冷たくしすぎたってのもあるしな。

今戻れば少しくらい優しくしてやんねェことも…。


ツバキは戸惑っているのかこっちに目線が来ない。

すると。


 
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