裏
□Love for you
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ふとため息をつく。
いつものようにキッチンでケーキを食べている私を、隣でじっと見つめてくるサンジ君。
「ねぇ…サンジ君。気が散ってケーキ食べられないんだけど…」
「ごめんごめん。ツバキちゃんが可愛いから、つい」
私たちは晴れて恋人同士になれたんだけど、前に比べてかなり積極的になっているサンジ君に、最近困っている。
みんなの前で抱き締めてきたり、私のことをみんなに話してのろけたり…。
それに好きな人に見つめられることに慣れるのには、時間がかかっていた。
嬉しいんだけど…、恥ずかしいんだよね…。
「ツバキちゃん、ちょっとこっち向いて」
そう言われて顔を上げると同時に唇が重なった。
「…!」
その刺激に、彼の胸にしがみつきながら耐える。
「…甘い」
ふっと笑ったサンジ君に、心臓が跳ねる。
「ケ、ケーキ食べてる時にキスするの禁止!!」
「えー…」
拗ねるサンジ君が可愛くて、許してしまいそうになった。
…そう言う顔、狡いよ…。
「俺はそろそろ、ケーキよりも甘いものが食べてェかな」
すると今度は私の首筋に唇を這わせてくるサンジ君。
その感触に、身体中に電気が走るみたいにぞくぞくしてきてしまう。
でも、それと同時に行為への恐怖感のせいで、身体を預ける勇気は失われていた。
「…サ、サンジ君っ…、だ、め…ッ」
「だめ?」
必死に胸板を押し返して小さく抵抗を見せる。
「誰か来ちゃうよ…」
「じゃあ誰も来なかったらいいんだ?」
「違っ…」
意地悪気に笑って見せる彼の瞳に、耳まで響く程鼓動がよく鳴る。
「んー?」
今度は私の匂いを嗅ぐように首もとに顔を埋めた。
息が擽ったくて、力が抜ける。
間近で感じるサンジ君のシャンプーの香りも、少し香る煙草の匂いさえも。
脳が痺れるみたいにクラクラする。
私は彼の背中に手を回した。