□キライ、キライ、スキ。1
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――水平線から日が昇る。
ガラス窓から差し込む光が、私を暖かく包み込む。
その明るさに目を開けた。
(頭痛い…)
眠気眼を擦りながら起き上がる。
腹部にかかる毛布。
重い瞼でも分かる。見渡す限り、ここは展望室のようだ。
「…あれ?私、何でここに…?」
床に視線を移すとゾロが寝ている。
昨日は確か不寝番中にやけ酒して、うたた寝してたらそこにゾロがきて、少し話して…そしたら…。
「……」

(なんじゃこりゃあアァ…!!!!!)

服は乱れているし、自棄に下半身がスースーすると思ったらパンツを履いていない。
そしてソファーの下で眠るゾロ。
何年も前のセリフを心で言ってしまうくらい一大事だ。

ぼーっとしてるときにキスをされた…気がする。
そのあと胸を触られて、スカートの中に手が…。
――何となく覚えてる、…途中までは。
もしかしてゾロと一線を超えてしまったってこと…?!
サンジ君が好きなのに…!!?
私は頬を手で覆った。羞恥心と同時に起こる罪悪感。
いくらお酒が入ってたとはいえ、それを言い訳には出来ないだろう。
冷静になって考えてみると、とんでもないことをしていることが理解出来る。
密かにサンジ君に思いを寄せていただけの純粋な私は、終わったようだ。

「頭抱えて何してんだ?」
私はその低い声に、肩をビクッと震わせた。
恐る恐る目を向けると、眠そうに緑頭を掻きながらゾロは起き上がる。
見る限り、服を着ているようだ。ただそれは事後に出来るわけで…。
「あの…、昨日は…」
「すげェ乱れてたな」
「…え!?」
言い終わる前に返事をしたゾロは、軽々と口にする。
「俺が激しく動かしたら良さそうにイッてたぜ?」
「なっ!!?そ、そこまで聞いてない!!!」
私の反応を見たて、まるで面白がるように笑っている。
ってことは、やっぱり最後までいったってこと…?!

ゾロは立ち上がり、展望室を出ようと縄ばしごのところへ向かう。
「待って!」と声をかけると、彼は振り返った。
「“このこと”は誰にも言わないよね…?」
少し考えたあと、後頭部を掻きながら言う。
「そうだな、お前が俺の言うこと聞くなら構わねェぜ」
「え!?」
真っ直ぐ見る瞳。
私が声を荒げたことをまた面白がっているのか、ニヤリと不適な笑みを浮かべた。

「お前もよく考えておけよ」
そう言い残して、ゾロは甲板へ降りていった。

私はまさかあんなことになるなんて、思ってもいなかった。
この胸の鼓動が、頬に残る熱が。
全ての始まりだと。


to be continued...
 


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