隣にいられる幸せ

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船員たちは宴のためにお酒や食料を運んできた。


「アイリス たくさん飲め!!」

「私…お酒飲んだことないし…お酒は体に悪いって聞いたことがあるよ…!」

「適度なら体にいいんだぜ!」

「お頭が言うと説得力ねェけどな!!」

「違いねェ!!」

船員たちは笑った。


「つーか お頭、副船長にお酒 止められてんじゃ……」

「1日経ったし 平気だろ!」

【やっぱ 飲んじまったか…】

「!?」


厨房にいたベックマンがシャンクスの横に立っていた。


「“ケガ治るのが遅くなるから飲むな”って言ったろ?」

「昨日 我慢したぞ!」

「そう言う問題じゃない」

「ベックマンがたばこをやめれないように 俺もお酒がやめれないんだ!」

そう言って シャンクスは歯を見せて笑った。


「……仕方のない人だ…」

そう言うと ベックマンはたばこの煙を吐き出した。



「お頭! アイリスが…!!」

「ん?」


シャンクスが隣に座っていたはずのアイリスを見ると 倒れていた。


「アイリス!?」

シャンクスはアイリスを抱えた。


アイリスの顔はほんのり赤くなっていた。


「熱か!?」

シャンクスはアイリスのおでこに手を当てた。


「熱はないみたいだ…」

「酔ってるだけだな」

ベックマンはアイリスが飲んだお酒を示して言った。


「……酔ってる?」


シャンクスはアイリスが飲んだ酒瓶を見た。

「…ほとんど減ってないが……」

「酒に弱いってことだな」

「なにぃ―――…!! 酒に弱いだと――――…!!!」

シャンクスは驚きのあまり 大声をあげた。


「お頭 静かに!」

「アイリスが起きちゃうから!」

「…すまん」


ベックマンはシャンクスの横に座った。

「よりによって アイリスに飲ませたこの酒 強いやつだろ?」

「…せっかくの祝いだったから……」

「アイリス “お酒初めて”とか言ってなかったか?」

「…言ってた」

「……ったく そんな子にこんな強いの飲ませたらダメだろ…」

「…すまん」


シャンクスは自分の腕に抱いているアイリスを見た。

「ごめんな アイリス…」


ヤソップはアイリスの体が冷えないように 毛布を持ってきた。

「ほら お頭、かぶせてやんな」

「ありがとう ヤソップ」


シャンクスは自分の太腿を枕にして寝かせているアイリスに毛布をかけた。


「主役がこれじゃ宴にならねェな…」

「また仕切り直しだな」

「だな」



アイリスの歓迎会の宴は延期となった。



そして 宴が終わり 船員たちは各自部屋に戻っていった。



「……ん…」

宴が終わってからしばらくして アイリスが目を覚ました。


「アイリス ごめんな! 大丈夫か?」

「…シャンクス……。 …頭…痛い……気持ち悪い……。 私…どうなっちゃったの…?」

「アイリスはお酒を飲んで酔ったんだ」

「そう…だったの…」

アイリスはシャンクスに支えられながら 上体を起こした。


「水を飲め アイリス」

ベックマンはアイリスに水を渡した。


「ありがとう…ベックマン…」

アイリスは水を飲んだ。


「今日はもう寝たほうがいい」

「……うん…」

「アイリスはお頭の隣の部屋を開けたから 好きに使ってくれ」

「…ありがとう…ベックマン…」

「俺やルウとヤソップの部屋も近いから 何かあったら声かけな」


アイリスは頷いた。



シャンクスはアイリスを抱き上げた。

「部屋まで連れてくよ」

「…うん」



シャンクスはアイリスをアイリスの部屋に運んだ。

そして ベッドに降ろした。


「…ありがとう…シャンクス」

「元はと言えば俺が原因だからな…」

「うううん。 …嬉しかった…私のために宴を開いてくれて……ありがとう…」

そう言うと アイリスは微笑んだ。


「いいからもう寝な。 歓迎会はまた今度やり直すから」

「…うん…」




少しして アイリスは眠ってしまった。


「ほんとに…綺麗な顔してる」

シャンクスはアイリスの髪を撫でた。

そして 髪にキスを落とした。

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