続き物

□山崎監察を観察してみた
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小姓の仕事って一体何なのだろうか?

俺、佐々木鉄之助が真選組副長土方十四郎の元で小姓として働くよう任命されたのは結構前なんだが正直暇だ。未だに何をしたら良いのかわからない。

調べてみても
  小姓
ー身分の高い人の身辺の雑用をする少年ー

俺に期待される事はつまり副長の身の回りの色々な世話をする事だと思うんっスが何か間違ってる?


朝、起こしに行っても
「山崎呼べ。鉄、テメーはとりあえず素振り三千回!」
不機嫌に追い払われる。

昼飯を共にしようとして近付いても
「弛んどる!…腹が。食後、腹筋百回!」いや、確かに弛んでるけど(泣)

こんな事で挫けてる場合じゃないYO-。
YO-YO-コミュニケーション大事だYO-。

何て言ってる場合でも。
今日こそ話をしながら並んで晩飯を食べるんだ!

「副ty…」「山崎ィ、頼んどいた資料、部屋まで持って来い。晩飯もマヨ大盛で。」
こっちを見ようともしないし。
俺って要らない子?(泣)

あ、山崎さんと目が合った。
「副長、鉄が」
気の毒そうな表情されたっス。

「何か用か?」
俺はお前に用はないけどな!とでも言いたげな表情の副長。
「何でもないっス。」がっくり↓


そんなこんなで、何をするにも山崎ィ、ザキィ、山崎!

副長の身の回りの世話はいつも山崎さんで、俺は少しずつ身体が鍛えられていくばかり。
…鍛えられるのは良いことか。

ともかく、
目の前に居る俺を副長の目線が素通りするのは背の低さの所為?
ちっとも視界に入ってないっスか?

いや、諦めるな。
ここ(真選組)で頑張ると誓ったのだし。



夜、自室に戻ろうとする山崎さんを捕まえた。
「何?」
柔らかな笑顔。

副長には敵意があるんじゃないかと思えるほど睨まれ続けてるから癒される。
やべ、泣きそう。
でも聞かなくては。俺、頑張るっス。

「もともと山崎さんが副長の小姓だったんスか?」
「は?」
うわぁ、めっちゃ嫌そうな顔したよ。

「俺ァ、あくまでも副長付きの監察であって小姓になったつもりなんか一度もないの。なのにずーっとこき使われ、理不尽な暴力受け続けたりでさぁ。正式に小姓がついて安心してたのに、なーんにも変わらないじゃん。何で俺ばっか使われなきゃならんの。」

実は不満に思ってたんすね。
使えない奴でごめんなさい。
屋上から突き落とされた時も助けてくれたし、普段から色々気にかけて貰ってるのに。
うん、やっぱ泣こうかな。

「いや、鉄の所為じゃないから。副長が我が儘すぎるんだよ。あれで意外に人見知りするし。」

まさかの副長人見知り説。
いや、また気を使われてしまったのか。
優しい笑顔を浮かべ頭を撫でられる。
たまに言葉が非道いこともあるけど基本他人に甘そうな人だから。


よし!
山崎さんみたいにすれば、副長に重宝され小姓としての任務を全うできるに違いない。

それならば、善は急げ。
「弟子にして下さい!」
「…ェ?」

また、嫌そうな顔された。

「弟子とは言っても、副長にどう接っすれば良いのかを知りたいだけなんです。お仕事の邪魔にならない時だけで良いですからついて行っていいっスか?」

「後生ですからお願いします。」

まだ嫌そう、というか困惑しているような表情。

こうなったら土下座だ、土下座。

「あぁ…ちょっと、止めてよ。いいから、明日からそれで。副長には俺から頼んでおくから。」

勝った!

「明朝、山崎さんの部屋に行きますね。お休みなさい。」

「はいよ。あぁ…えーと、明日の会議が八時からだから一時間前に…。かな。」

ひらひらと手を振って自室に戻って行く山崎さんの背中を見送りながら、ガッツポーズ。

(…ぁ、ぁれ?って事は明日からまた俺が起こすことになるの?でも、毎朝呼び出されてる訳だから何も変わらんのか。はー、やだなぁ…)

何か聞こえたが、気にしない!fu-!

明日から大事な要点を書き留める事にしよう。
監察観察日記とかでいいかな。うん。
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