続き物

□副長の為の監察
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話は真選組が結成して間もない頃に遡る。

まずは近藤さんが局長、俺が副長となり、古くからの仲間を一番隊〜十番隊にそれぞれの隊長として置く事が決まった。
そして一般から広く隊士を募集して組織の充実を図る事になった。
しかし監察方の隊士に関しては、その任務の特殊性を考慮して警察庁長官から紹介を受ける事となる。

「今日来るのは密偵養成所のエースだっていうから問題は無いと思うが、一応面談を頼むな。残りの二名は都合が合わず明日来るそうだ。今日はもう1人来るけど…まぁ…小姓っつーか、あっちの方だな。うちには必要ないだろうが採用はトシに任せる。書類にちゃんと目を通しておいてくれよ」

忙しいのに面倒な事は勘弁してくれと思うがこればかりは他の奴には任せられない。
監察方は組織の頭脳の中核を担うものと言っても良い。ただ強いだけでなく様々な能力を要する。
情報が有ると無いのじゃ仕事のやりやすさが段違いだ。

キリの良いところまで仕事を終え、近藤さんに渡された書類に目を通そうと思ったのだが、いつの間にか山積みの他の書類の中に埋もれてしまった。

必死で探しているうちに総悟からの突撃を受け更に紙の山が崩れてどの辺に紛れてしまったのかすら分からなくなってしまう。

「…ハァ…」

盛大に溜め息を吐いても始まらない。
近藤さんも出掛けてしまったし、本人に聞けば良いだろうと潔く諦める事にする。
それでも一応、選考書類は探し続けたが結局は間に合わなかった。

「土方シネ。例の松平長官の紹介っての、来ましたぜィ。あれだったら俺が小姓に欲しいなぁ。一応監察部屋に通しておきましたぜ。」

俺は土方シネなんて名じゃねーが、総悟になんか構ってる場合じゃない。
あれだったら小姓に欲しいとか、好みだったんか?

「もう1人の方が来たら空き部屋で待たせとけ。」

総悟じゃあてにならないので他の隊士に言い含め暫定的に監察部屋となっている部屋に向かう。

小姓が必要かって言えば、雑用をしてくれる部下が居れば確かに助かるのだが、近藤さんは言いづらそうにあっちの方と言っていたからおそらくは稚児的な役割の方。
警察という立場上、堂々と遊郭で遊び回るのを避けるべきだし娼婦を雇う訳にもいかず余所ではそういう事も考えられるのか。

俺には不要なものだが、松平のとっつぁんから紹介を受けた以上会わないわけにはいかないだろう。
 
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