リクエスト、その他

□監察会議?
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通常時に於いて監察方の朝は早い。
真選組全体の朝礼の前に打ち合わせが行われるからだ。

筆頭の山崎が不在の時は篠原か吉村が指示を出すのだが、それで事足りない時は副長の土方が顔を出してくる。
正直、土方は言葉数も少なく威圧的なので打ち合わせの時間は酷く陰鬱なものになる。しかも早朝の不機嫌さは最悪。
爽やかな朝の始まりどころか顔を合わせるたった数分間すら果てしない試練の時間。
滅多にあることでは無いのだが、普段山崎監察筆頭の緩く和気藹々とした打ち合わせに慣れきった監察方の面々は筆頭の潜入捜査活動による1ヶ月の不在に戦々恐々としていた。

「ただいま!」
早朝、土方に帰還の挨拶を済ませた山崎が1ヶ月ぶりに監察室に顔を出す。

「山崎さん、お帰りなさいっ!」
毎度、泣き出さんばかりの部下達の歓迎ぶりに山崎は少々辟易している。
疲れているのになんて鬱陶しい。
夜中に行動していたから、眠気もピークで、さっさと部屋で身体を休めたいのに。

「今回も副長の機嫌最悪でした。」
山崎の不在時に一番わりを食うのは筆頭代理として副長と監察方の調整役となる篠原である。
ただでさえ山崎が居ないと土方の機嫌は悪くなる。その上、土方と篠原の相性は決して良いとは言えないのだから篠原の心労はいかばかりのものだろう。

「ほんとにお疲れ様。」
篠原の肩を抱いて背中をぽんぽんと叩く。山崎に邪な好意を抱くこの部下を普段ならなるべく避けているのだが、この時ばかりは労わずにはいられない。
「副長に敵意を抱かれてるような気がするんですが、気のせいなんでしょうか。」
篠原は山崎の腰に手を回し、すりすりと頭に頬を擦り付けてそのサラサラな髪の感触を味わう。
そういうことをするから土方に嫌われるのだということを彼は知らないのだろうか。
「基本的にあの人は誰にでも素っ気なくて厳しいからねぇ。」
篠原の嫌われ度は格別だけれど、山崎もこの部下の扱いには実は手を焼いているのだけれども、それは言えない。

「山崎さんにはそうでもないでしょうよ」さりげなく篠原を山崎から剥がしつつ吉村は苦笑した。
「いやいや、あの人は俺にも辛辣だよ。誰か優しい副長を俺に下さいって言いたいくらいさ。」
「そういやぁ、さっきも捕まって散々小突き回されてましたねぇ。一体どうしたんです?」
シッシと篠原を手払いしつつ吉村は身を乗り出す。
 
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