ようこそ、暁荘へ

□イタチとサスケ
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明日から委員会の当番ということを忘れていた。
そうなるとバイトも遅れることになる。

テウチさんにはナルト君に伝えてもらうとして、シスイさんにはどうしよう。

少し考えて浮かんできたイタチさん。

(いるかな…)

日曜日の午後ということで、もしかしたら出掛けているかもしれない。
そう思いながらも104号室のインターホンを押す。


「…向井?」

「あれ、サスケ君?」


出てきたのはイタチさんではなくサスケ君だった。
何故此処にサスケ君がいるのだろう。
そう思ったのは私だけじゃないようで、サスケ君の表情を見れば何を考えているのかすぐに分かった。


「サスケ、誰だ?」

「あ、兄さん…」

「兄さん!?」

「鈴、どうかしたのか?」

「鈴!?」


互いに驚いた顔を見せ合う形になる。
イタチさんは苦笑いして、私を中に入れてくれた。

お茶を出されて一口飲んだ後、イタチさんから「オレの弟だ」と紹介された。

そしてイタチさんから「2人はどういう関係なんだ?」と言われ「「クラスメイト」」と声を揃えて返した。

世界は私が思っていた以上に狭かったようだ。
前々からイタチさんとサスケ君は似ていると思っていたけど、まさか本当に兄弟だとは。


「…びっくり」

「それはこっちの台詞だ。兄さんの隣に住んでるとはな」

「いやいや、それこそサスケ君とイタチさんが兄弟という方が驚きだよ」


やっぱり2人揃うと兄弟感が出るというか。
サスケ君のお兄ちゃんがイタチさんといのに納得だ。


「それより鈴、何か用があったんじゃないのか?」


イタチさんに言われて目的を思い出す。


「私明日から委員会の当番があるんでバイト遅くなっちゃうんで、シスイさんに伝えてもらってもいいですか?」

「分かった」

「すみません、お願いします」


イタチさんに言われなければ、忘れていたところだった。


「シスイ兄さんとも知り合いなのか?」

「知り合いっていうか、バイト先の店長さん」

「古本屋ってうちは書店だったのか」

「あ、うん。サスケ君、シスイさんも知ってるの?」

「知ってるもなにも、シスイ兄さんには昔から世話になっている親戚だ」


びっくりしすぎて、もう声も出なかった。

世界狭すぎでしょ!と最早ツッコミレベルの偶然。


「オレは兄さんと同じところでバイトしてるのに驚きだけどな」

「イタチさんには色々助けてもらってます」

「そんな事はない。鈴も頑張っているだろう」

「兄さんの足、引っ張るなよ」

「……努力します」


この間、サスケ君はイタチさんの事を憧れと言っていたけど、その気持ちは凄く分かる。
私もイタチさんのようになりたいと思うときが多々ある。

(…やっぱり羨ましい)

一人っ子は兄弟を欲するというかなんというか。


「あまり女の子に酷いこと言うなよ」

「分かってるよ」


なんてやりとりとか、イタチさんがサスケ君の頭を撫でたりするのを見ていると。

ちょっとだけ寂しくなった。




 
 

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