short
□チョコより甘いキスをして
1ページ/1ページ
「瑠那」
「ん?」
名前を呼ばれて振り向けば、ちゅとリップ音が響いた。
「甘いな…」
不服そうに言うイタチだけど、それはこっちだ。
限定品のチョコケーキを食べていたのに、いきなり何をする。
私の至福の時間を邪魔しようものなら、いくらイタチでも容赦はしない。
「ケーキ食べてるんだから当たり前」
「…もう一度だ」
「話聞いてた?ケーキ食べてるんだけど!」
「…嫌か?」
そんな捨てられたら子犬、いや子鼬みたいな顔するな。
私がその表情に弱いのを知っていてやってるんだから、イタチはずるい。
「嫌じゃないけど、また甘いとか言うんでしょ?」
「…ん」
さっきより少し長めのキス。
口から漏れた声が色っぽい。
「甘い」
「だから…!」
「オレが言ってるのは、ケーキの事じゃない」
「え?じゃあ何?」
「お前が甘いと言ってるんだ」
「っ!」
だからイタチはずるい。
チョコより甘いキスをして