RF3

□ずっとずっと。
1ページ/1ページ

「マリーってさぁ、あたいの事どうおもってるの?」
それは、本当に突然でいきなりの事だった。
いつものようにショコラとくだらない事を言い合っていたのに、ふと真剣な顔でそんな事を聞いてきたのだ。
「良い実験体って、とこらかしらね!」
いちばん私らしい返答をすると、ショコラは顔をしかめて呟いた。

「そっか」

……………あれ?

***

幼馴染みで、実験台で、友達で。
…………………………親友で。
いつだって一緒に居た。いつもいつも、一緒に。
そう。私たちは親友なのに。
言えなかった、恥ずかしかった。親友だって言いたかった。
でも、それが私の勘違いだとしたら悲しすぎるから。
言えなかったんだよ、ショコラ。

私は、ショコラがだいすきなの。

***

「こんにちはーっ!」
ショコラの家に押し掛けると、ラスクがお菓子を作っていた。
「マリオンうるさい。姉ちゃんなら上だよ」
「へっ?なんでショコラに用があるってわかったの」
「マリオンは昔からショコラショコラって、姉ちゃんの事大好きだったでしょ」
「………そうよね。ショコラは私の親友だもん」
「なんか素直だね?」
「何でもない!じゃあねっ」
馴染みのある階段をどたばたとかけ上がると、階段を一段踏み外してしまった。転んだ。
けれどそんな事気にもせず、私はショコラの部屋へと向かった。

***

「ショコラ」
こんこん、と控えめにドアをノックする。
すると、ドアの向こう側から「なに」とだけ不機嫌な声がした。
「カレー作ってきたんだけど」
……かちゃり。分かりやすくてよろしい。
ドアをゆっくり開けると、いかにも『怒ってます』という顔のショコラが目の前に立っていた。
「はい」
「…………ありがと」
容器に入れたカレーを渡すと、ぶすっとした顔は晴れて笑顔になった。
やっぱりショコラには笑顔がいちばん。
「ごめんね、ショコラ」
「いいよ。あたいもごめ」
「ショコラの事、ちゃんと親友だと思ってるわ」
ショコラの言葉を遮るようにして、私はそう言った。
みるみるうちにショコラの顔はかあっと赤くなり、ぽろりと涙を溢した。
「もしかしたらあたい、マリーに親友って思われてないかと思って…………ぐすん」
「私もよ!こ、怖くて親友だって言えなかったの!」
目の前の親友は涙を流しながら笑顔で、私も顔を赤くしながら笑顔になる。

「マリー、えっと……これからもよろしく!」
「もっちろんよ、ショコラ!」

(だいすき。)
この好きがライクからラヴになるのは、もうちょっとだけあとの話。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ