Novel Room
□Shine〜もう一つの物語〜
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そう、全ての始まりは『あの事件』の終わりだった。
ようやく素直になれた、なのに……
『歪み』の崩壊に投げ出された影響だろうか、僕だけが時間を飛ばされて、200年もの未来に飛んだみたいだ。
この世界では既に電脳技術は衰退し、電波と呼ばれる技術が発展していらしい。折角貰った通信端末もガラクタ同然と化してしまった。
この時代で普及しているトランサー。これは腕に装着する携帯型端末らしいけれど、どうにも僕の波長に合わないらしく、代わりにウェーブスキャナーと呼ばれるトランサーのサポート端末を改造して、過去にある携帯電話と同等の機能を付属させた。
実を言うなら貰った通信端末を捨てたくない、そんな僕のワガママからトランサーを持たずにいるだけなのだが。
この時代にも危険因子はあるらしい、彼等の名前はFM星人。
この世界は他の星系との接触が皆無らしいので、僕の知っている惑星間未許可介入禁止法は全く意味を成さないみたいだ。
そのFM星人から逃亡者が出、地球人と同居している。
名前はウォーロック、通称ロック。その同居人、星河スバル。
FM星人は周波数が同調する人間とならば『電波変換』を行うことにより、地球でも変わらぬ戦闘力を発揮することが可能らしい。
星河スバルとウォーロックが電波変換した姿、名前はロックマン。
そう、アイツが興味を示している対象の一つ、ロックマンなのだ。
これもその因果か、僕はそのロックマンに助けられ、今は星河スバルの家で世話になっている。
事情は様々あるが、一番の要因は僕が『家なき子』だったからだろう。
僕はアイツが助けに来てくれるまでの間、代わりにこの世界のロックマンを監察しようと思う。他でもない、アイツの代わりだ。
ただ『器』である僕には、アイツの様に産まれもった『力』が無い。例え戦闘が起こったとしても、星河スバルやウォーロックの助力にはなれない。
これが一番の悩みであり、欠点でもある。
だから僕はこの世界に既存する力、バトルカードでサポートをしようと思う。
今日もこれから新しいカードの補充に出掛けてくる、星河スバルも一緒に来てくれるらしい。
今でもあの後ろ向きな感じだけは好きにはなれない、そんな日々である。
220X年、幸月 聖