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□Shine〜もう一つの物語〜
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「え…?」
刹那、周囲に暗闇が拡がり、少年のポケットから一枚のカードが飛び出し、光を放ちながら目の前で止まった。
―お前は此処で終わるのか?此処で朽ち果てるのか?
「そんなのは嫌だ!僕は…僕は……」
―僅かの間、力を貸そう、強き子よ、我が名を呼べ…
「僕は帰るんだ、シャイン達の所に!力を貸して……っ!」
―呼べ、我が名は……
群がっている電波ウィルスの隙間から光が漏れ出し、一気に吹き飛ばした。
「な…なんだぁ?!」
ジャミンガーが慌てていると、発光しているカードを手にしている聖が静かに呟く。
「レジェンドカード・エンゲージ、グラキエス・レイピア!」
スキャナーにカードを通すと、それは粒子となり聖の手から消え、周囲の空気が一瞬にして冷気を帯びた。
「凍てつけ、氷の刃…」
刹那、一陣の風が舞うと同時に電波ウィルスの全てが何かに切り裂かれ、次々に姿を消していく。
「なんだこりゃ…こ…これがレジェンドカードの……」
ジャミンガーが最後に目にしたのは風に乗り、自らを切り裂いていく小さな氷の刃。防ぐことすら敵わない程、小さな。
「眠れ、夢と気付かぬ間に…それが唯一の情け……だ…」
力が抜けたかの様にその場に崩れ落ちる聖を急いで支えるロックマン。
「聖君っ!大丈夫?!」
「おい、大丈夫かガキ?!」
「スバル…くん…けが…は……?」
それだけを言うと、聖はスバルの腕で眠りに落ちた。
「聖君?!聖君!!」
「慌てるなスバル、寝てるだけだ。家に連れて帰ってゆっくり寝かせてやろうぜ」
「う…ん……?」
聖が目を覚ましたのは夜中、自らの布団の中だった。スバルはいつものベッドでは無く、聖が寝ている側で寝息を立てている。
「スバル君…もう、風邪引くよ?」
自分の毛布をスバルに掛けると、側に置いてあった紙袋が床に落ちる。
拾い上げ、中を見ると聖の頬に雫が流れ落ち、静かに呟いた。
「欲しいって言ってたカード…覚えてたんだ……ありがとう…スバル……」