Novel Room

□涙色
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アメロッパでの夜、ホテルで寝息をたてている熱斗の横にあるPETの中で、静かに電脳世界の空を見上げていた。
「まだ寝ていなかったのか?」
声の方を振り返ると、そこには長い銀髪のナビが自らの側へと歩み寄ってきた。
「ブルース……」
「隣…良いか?」
首が縦に振られるのを確認すると、彼、ブルースは間を積めて隣に腰を下ろした。
「珍しいね、何か用なの?」
その問いかけを待っていたかの様に、彼は間を空けずに返答をする。
「炎山様がアメロッパに残る…だから俺もしばらくはニホンには帰れない」
「え……?」
発せられた言葉を理解できず、疑問符を浮かべると、再び口を開いて告げた。
「俺はアメロッパに残る…お前ともしばらくは会えない」
「そんなの…ヤだよ……」
瞳に滴を浮かべ、下を向く。溜まった滴は頬を伝い、床を濡らしていた。背中に暖かい何かが触れ、頬には彼の掌が触れた。
「ぶるー…す……?」
掌で涙を拭い、そのまま強く抱き寄せて耳元で呟かれた。
「待っていてくれ…しばらくの間……俺が戻るまで」
それだけが耳に残り、気付けばそこには彼の姿は無かった。


抱きしめてずっと 側にいて

忘れてた 微笑み

寂しさや時の切なさが 世界を変えていく

涙色の星を眺めて ねがった 貴方に包まれて 扉を開けたら

〜Fin〜
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