Novel Room

□遅刻
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「すまん、待たせたか?」
電脳世界の街外れ、小走り気味に近づいてくる姿を見、満面の笑顔になった。
「ブルース、僕も丁度来た所なんだ」
しかし、その言葉とは裏腹に顔は真っ赤になり、先程まで擦り合わせていた両手を背中に回している。
「今日は冷えるからな…こっちに来い」
そう言うと静かに腕を伸ばし、そっと自らの胸元に抱き寄せた。急に起こった出来事を把握できなかったものの、ゆっくりと顔を上げ、首を傾げる。
「ブルー…ス…?」
「…この方が暖かいだろう?」
胸元を見下ろし、自らを一心に見つめている瞳をのぞき込んだ。未だ赤くなっている頬の色を見て、今度は自らが首を傾げる。
「顔が赤いが…まだ寒いのか?」
「な…なんでもないよ!時間が無いから早く行こ!!」
胸元から離れ、一人先に街へと歩みだした。そんな彼を不思議に感じながらも、見失うまいと後を追った。

しばらく街を歩いていると、ある一点でロックマンの歩みが止まり、何かをじっと見つめていた。それに気付き、彼の視線が向けられている先を追ってみた。
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