ORIGINAL

□Episode.1
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「みんな〜、今日はみんなに嬉しいお知らせがあります」

秋原小学校、6年のクラスで担任である大園まり子が朝のホームルームでこう告げた。
良い報と聞き、クラスのあちこちでそれを予想する声がし、多少はざわめくもの、彼女は両手を軽く叩いて話を続けた。

「みんな、みんなは『副担任』って言葉を聞いたことがあるかな?」

「なぁロックマン、ふくたんにんって何だ?福神付けの親戚みたいなもんか?」

「言葉は似てるけど全く違うよ、熱斗君」

教室の隅、窓際の席でPET―パーソナルターミナル―にインストールされているナビ、ロックマンに問掛ける少年、光熱斗。ロックマンは立体映像として机の上に現れ、慣れた口調で説明を始めた。

「副担任って言うのは担任の補助…つまり、まり子先生が風邪とかで学校を休んじゃったりした時に、まり先生の代わりをする先生のことだよ」

「えぇ!?今日のまり子先生って風邪をひいてるの?!」

「そうじゃないって…」

二人が会話を交している間に、同じ説明が前でも行われていた様だ。

「本当なら副担任が居るのは中学校からなんですが、教育委員会から小学校での副担任制を調査したい、と提案があったらしいの。それで、みんなのクラスにもう一人、先生が入ることが決まりました。じゃあ…入ってきて自己紹介をお願いします」

教室の入り口に向けてそう言い放つと、静かに戸が引かれ、紫色の長い髪をした若い男が入ってきた。見た目の歳は大学生、と言った具合だろう。
教壇、まり子の横に立った男は微かに笑みを浮かべ、クラスの皆に挨拶を始めた。

「初めまして。今日からこのクラスの副担任になったシャインです。呼ぶ時には短くして『ショウ』で構わないよ」

白く、袖の辺りに黄色のラインが入ったコートを羽織り、前の開いた部分からは下に着ている青色の上着が見え、長くしなやかな後ろ髪は風に流されない様に首元辺りで結われている。

「シャイン先生は教室に居ます、何かあったりした時はすぐに話し掛けてあげてね」
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