ORIGINAL
□Episode.3
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科学省の電脳空間。屈指とも言われるファイアーウォールを持つそこへ、たった一体のナビ、ゼロが余裕の表情―そもそも彼に表情があるのだろうか―で突破して行く。
「レベル2…駄目です、歯が立ちません!」
研究員の声に焦燥感が募る一方の名人と光祐一郎。
「クソ、熱斗君達はまだか!このままではレベル3まで…」
『足止め、なら…お手伝いしましょう』
刹那、二人の前にあるコンソールの画面に以前、一度だけ顔を見せた青年、シャインの姿が写し出された。
その彼に対し、口火を切った祐一郎。
「君は…確かこの前の?」
『はい、熱斗君の副担任、シャインです。ショウと呼んで下さい』
「ではショウ、細かいことはきちんと聞かせてもらうが…今は緊急事態だ。至急こちらに来て…」
『その必要はありません、既に手は打ってあります』
彼の言葉に疑問を抱く祐一郎。だが、ショウの言葉の意味を研究員の報告で理解することとなった。
「博士、レベル3の前に女性型のナビが一体…既に待機しています!」
「女性型…彼のナビか?しかしどうやってあそこに…」
屈強なファイアーウォール。ゼロが破った以外の箇所の破損は見当たらない筈にも関わらず、そこには外部から、しかも科学省のコンソール以外からプラグインされたナビが立っている。
その現状に少し頭を捻る祐一郎だが、それは名人の一言により掻き消された。
「詮索は後にしましょう、博士。熱斗君達が到着するまでは彼に任せてみましょう」
「そうだな…すまんが頼む」
『えぇ…バルムンク、来るよ!』