ORIGINAL
□Episode.10
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日も落ちて間もない頃、光家を二人の人物が訪ねていた。一人は紫色の髪をした青年、もう一人は和装をした男だった。
「もうすぐ熱斗もお風呂から上がるはずだから、それまでゆっくりしていらして」
熱斗の母、はる香は満面の笑みを浮かべてキッチンへと足を運んだ。もてなされた飲み物を口にしている青年に向け、和装の男が言葉を投げ掛ける。
「お前は光熱斗の副担任…と言ったか、こんな時間に家庭訪問か?」
「目的は貴方同じだよ、ダーク・ミヤビ。電脳世界へ飛んでしまったクロヒゲとチロルの捜索と保護…半分は不本意だけどね」
そこまで言葉を紡ぐとカップをテーブルへ置き、閉じていた瞳を開いて和装の男、ダーク・ミヤビにそれを向けて続けた。
「電脳世界で二体のナビが熱斗君とロックを探してる、て噂を聞いてね。それで色々と調べて今に至るワケ」
「それに…お前もただの教師では無いだろう?先程から俺が隠しているクナイを警戒している…違うか?」
ミヤビの言葉を聞いた青年は僅かに笑みを浮かべ、いつ手にしたか解らないクナイを人指し指で回していた。
「コレのこと?殺気が篭っていなければただの鉄の塊さ…はい」
はっと宙に浮いたそれを慌てて手に取り、懐へとしまうと驚嘆の声を上げる。
「いつの間に俺の懐から…」
「フフ…手癖が悪くて、ね。特に武器とかを警戒して先手を打つ癖があって」