ORIGINAL
□Episode.7
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「ナビを実体化させたり、電脳空間へ彼が跳んだりする力…これが人知を越えた彼の力にしろ、彼の使うチップの力にしろ、たった1枚のチップにそこまで強力な力をインストールすることはまず不可能な筈なんだ」
祐一郎の説明がそこで区切られると、青年は再び口を開き、言葉を紡ぎ始めた。
「オーバーテクノロジーなのは承知の上です。今の科学省はアメロッパ軍、シャーロ軍…これらの技術を用いたとしてもS.Dチップの開発は愚か、解析すら不可能でしょう」
先程の彼の言葉に疑問を抱いた炎山がようやく口を開き、首を傾げる。
「ならばそのチップをどうやって作った?最先端を誇る科学省ですら解析不可能なものを」
「それは言えないよ、技術の流出はご法度だからね。それにこのチップは私を始め、一部の限られたメンバーにしか扱えないから安全性は保証するよ」
彼の解答に些か満足はしていないもの、背もたれへ背を預ける。
刹那、ショウのPETへと通信が入り、銀髪の少年らしき人物が写し出された。
『ショウ、データの解析が終了したよ』
「ん、お疲れ様。そうだ、ついでに挨拶しておこうか、レニ」
レニと呼ばれた人物はショウの言葉を聞き、モニタ越しに首を傾げる。
「彼女はレイニス=レシステンティア。主にデータの採取と解析をしてもらっているけれど、ネットバトルも相当の腕だよ」
『よろしく…ショウ、解析済みのデータを渡したいんだけれど……』
短く無愛想に挨拶を済ませると、そそくさと本題を切り出す。その言葉を聞いて少し考えた彼は、答えを返した。
「そろそろお昼、か…レニ、マハ一番ダッシュって言うカレー屋で待っていて、すぐに向かうから」
『了解』
通信が切られたのを確認すると、熱斗へ目線を写し、言葉を繋げる。
「さて…一緒に行くかい、熱斗君?」
「うん、行く行くっ!!」
「決まりっと…それじゃあ、この辺で」