フェイタン短編.1
□片想い
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世の中くだらないことばかり。
食べるのも着るのも住むのも不自由しなくなっても、そのくだらなさは変わらなかった。
片想い
「よぉフェイ、暇してんなら女遊びにでも行かねぇか」
本を読んでいるとフィンが隣に来て言った。
「またそれか…いらないね…」
「んだよ釣れねーなあ、つまんなそうにしてるから誘ってやってんのによ」
余計なお世話だ。
暇になるとフィンはよく誘ってくる。
他の団員も男なら当たり前のように女遊びに行く。
自分も男だ。
そういう欲がないわけではない。
だがわざわざこっちから出向いて金を払い、貴重な時間を費やしてまですることなのかと思う。
あまりにワタシが女遊びに興味を示さないので、団長はいつか女に引っかかる、ハニートラップにハマる、幻影旅団たる者、女くらいよく知っておかなければ…
などとくだらないことを言い出した。
しかも団長命令とまで言って。
こんなくだらないことに職権乱用しないでほしい。
それから団長が娼婦を連れて来るようになり、相手をすることになった。
…だからと言ってなんだ、というのが感想だ。
団長やフィンたちが言う「女は良いぞ」の意味はまったくわからない。
性欲処理のために良いも悪いもあるのか。
それ自体が悪いとは思わない。
ただ、良いとも思わない。
やっぱり変わらない。
なぜこんな誰にでも股を開く汚い娼婦に金を払ってまで、貴重な時間を費やしてまで、したいかわからない。
面倒になってきて娼婦を連れて来る度殺すことにしたら、団長は女を連れて来るのをやめた。
…だから最初から、いらない言たね。