フェイタン短編.1
□永遠
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教会の鐘の鳴る音。
サヤカの視線を追うとそこには純白のドレスを着た女と大勢の取り巻きがいた。
永遠
「わあ〜、きれい…」
仕事の帰りにたまたま通りがかったそこで、うっとりとするサヤカ。
きれい?
自分も見てみたが、きれいなものは見当たらない。
唯一マシだと思えるのは、女が着た真っ白で輝きのあるドレスくらいだった。
…そうか、サヤカもそう思っているのか。
きれいということは、欲しいということだろう。
そう解釈したワタシは次の日からあのドレスを探すことにした。
……
いくつか店を探索したりした。
同じような物がたくさんあったが、ありすぎてなにが良いのかよくわからない。
なら全部盗ってやろうかと思ったが、着られない量の服はもったいないからいらないよ。と以前サヤカに言われたので以来は控えている。
そうなると1着を選ぶことになるが…
どれが良いかなどまったくわからない。
しかしあの滅多に物を欲しがらないサヤカが、あんなに目を輝かせて見ていた。
どうせやるならサヤカが1番に気に入るようなやつをやりたい。
こんなことフィンに相談しても、あいつも大概女心には疎いし、かと言ってシャルナークに相談するのも癪だ。
…女のことは女に聞くのが1番わかる。
それが出した結論だった。
そうだ、気に入る物がわからなければ、気に入りそうな物を作ってしまえば良いのだ。
女、裁縫……
思い当たる人間が1人だけいた。
…
プルル、プルル…
…ピッ
「なんだよ、フェイタン。仕事でなにかあったか?」
「いや」
かけたのは蜘蛛の団員のマチ。
「…?珍しいな。お前が仕事以外で連絡してくるなんて、初めてじゃないか?」
「そね」
「…仕事のことじゃないなら、サヤカのことか?」
「よくわかたな」
「それしかないだろ…で、なんだよ」
「お前服作れ」
「……はあ!?」
「サヤカにやるから作れ」
「待て待て、なんでそうなったんだ…」
「サヤカが欲しがてる服があるね。真白なキラキラしたドレスよ」
「…真っ白なキラキラしたドレスぅ…?どこかで見たのか?」
「教会でリンゴンうるさかたね、そこの女が着てたよ」
「…教会の鐘の音…?おい、それって…」
マチが考え込んだように間を開けた。