フェイタン短編.1
□逢えない夜は。
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団長命令にて、次の仕事で初めて別行動をすることになった2人。
逢えない夜は。
サヤカが旅団に入ってから1年弱経つが、こんな命は初めてだった。
今回の仕事は女性組と男性組で別れて別の場所で任務を遂行して欲しいとのことで。
フェイタンとサヤカは常にペアで集団でいる時も側にいる。
団長もそれで了承しているので今後もそのスタイルに変わりはなく、今回だけ、ということだった。
不服を述べるフェイタンに、団長はなにも1カ月も離れろと言ってない、たった3日だけなんだから、と頼んだ。
下手に出て頼み込む団長を見て、サヤカはフェイタンを説得した。
そして明日から3日間、2人は離れ離れに過ごすことになった。
「……」
「も〜フェイ、いつまでもそんなムスッとしてないで」
愛の巣で寝床に就いても未だ納得がいかない顔をしているフェイタンをサヤカがなだめていた。
「3日なんて仕事してたらあっという間だよ、ね?」
「……サヤカからすれば3日は短いか」
サヤカさえOKしなければなんとしてでも断るつもりだったフェイタンは、完全にへそを曲げてそっぽを向いていた。
「仕方ないよ、団長のお願いだし。私たちいつも一緒にしてくれてるんだし、たまには向こうのお願いも聞いてあげなきゃ」
「…答えになてないよ」
第3者からしたら面倒くさそうに見える光景だが、サヤカはフェイタンが寂しくて拗ねているのだとわかっているので、可愛いと思って笑っていた。
「私だってもちろん寂しいよ?フェイと3日も逢わないなんて、一緒に暮らし出して初めてだし…」
サヤカはフェイタンの背中に身を寄せながら言った。
背中にぬくもりを感じたフェイタンは、振り向くとサヤカを抱きしめた。
そして様子を窺うようにその顔を覗き込む。
「……明日からしばらく逢えないね」
「うん…そうだね」
「……多くして、良いか?」
『なにを?』なんて聞くまでもなく。
もちろんそれは、愛を確認し合う行為のこと。
サヤカは恥じらいながら控えめに、でもわかるように確かに頷いた。
「うん…」
「サヤカ…ッ」
たった3日間の離別だというのに、まるで1年くらい逢えないように別れを惜しみ合う2人だった。
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