フェイタン短編.1

□片想い
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こんなことに時間を費やすなら、本を読んで新しい拷問に思いを馳せたり、美術品を盗んで愛でたりする方がずっと良い。

それにそもそも、自分は人と関わるのが苦手だし好きでない。

フィンは凶暴な気質が合うせいか、行動を共にすることも多いが…。

それでもずっと一緒にいたいとは思わない。

1人の時間が必要だ。


つまらない?大きなお世話ね。
これで良いね、ワタシは、こういう性格よ…。










団長が用事があると言うので、団長、フィン、シャルと流星街に来た。


団長が用事に行く間暇だったので、久しぶりに来た故郷を散策することにした。


…変わてないね。


相変わらずのひどい臭いとガラクタの山。

お世辞にもきれいとは言えない街。

自分が子供の頃に捨てられた街。

故郷だから嫌いとは言わない。

ただ、好きとも思わない…。



「はーい、みんな次はなにして遊ぶー?」



不意によく通る声が聞こえて足を止めた。


声の方を向くと、そこには見慣れない光景があった。


大勢の子供たちが集まり、それに囲まれた女が1人。


大人…か?
ワタシより小さいね。


「よーし!じゃあサッカーしようサッカー!」

「サッカーってなにー?」

「んー、とりあえずこの球を転がしてー、この線から先に入れたら勝ちー!」


この暗く荒んだ街にはそぐわない声。


ただなんとなく、でもなぜか目が離せなくて。


立ち止まって様子を眺めた。


遠巻きに見た彼女は、長く柔らかそうな黒髪に、大きな瞳をしていた。


「おりゃあー!」

「キャー!」


子供たちはキャッキャと騒ぎ、その中心には常に彼女がいた。


ボールを転がして、時に彼女が転んで、子供も転んで、ガレキを慣らして平らにされたわずかな空間で、彼らは戯れていた。


決して派手な服装はしていないが、彼女は流星街出身の人ではないと思った。


遠くから見てもわかるほど、彼女の存在は異質だった。
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