フェイタン短編.1
□ヤキモチ
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なんだー、こんなことだったら最初から喜んで来れば良かった。
イルミはいないみたいだし、なんの問題もなかったなぁ。
もうカルトの力試しも終わってるだろうし、早く戻らなきゃ。
しかし子供かあ…
2人ともそんなことまでフライングして考えてたんだね。
でもイルミとなんて、やっぱり考えられない。
それがあるとしたら、フェイとしか…。
私とフェイの子供…
いやあ、なかなか強くなりそう、フェイに似たら生意気で可愛いだろうなぁ〜…
…
「なんてなんて!なに考えてんの私はー!」
こんなこと考えてたら早くフェイに会いたくなっちゃった。
小走りにフェイたちがいるはずの部屋に向かったけど、なんせ方向音痴の私。
なかなか辿り着けなくて、うろうろしていると廊下に立ち止まっている背中を発見した。
…フェイだ!!
「フェイー!どうしたのこんなところで、早く帰ろ…」
近づくと、その後ろ姿はやっぱりフェイで。
でも問題はフェイのその前に立っている人物…
あ、あぁ、
あーーーーー‼︎‼︎‼︎
「…サヤカ、遅いから探しに来たね……どしたか?」
フェイの目の前に立っているのはまさにイルミ。
でもびっくりしてたじろいだ私を見て、フェイは不思議そうだった。
そうか、フェイは私を探しに来て、たまたまイルミに会った。
それだけだ。
つまり私が来なかったらなにもなく終わるはずだったのだ。
「やあ、サヤカ」
「あ、う、うん。久しぶり…」
イルミと目を合わさずにフェイの背後に行き、上着の袖をツンツンと引っ張る。
早く帰りたいの合図だったんだけど、フェイは勘違いしたのか、ポケットから手を出してそれを私と繋いだ。
イルミのオーラが揺れる。
私が気づいたんだ。
フェイが異変に気づかないはずがない。
「へえ、それがサヤカの今の彼氏?」
「…ハ?」
ああ、やめて。
もう早く帰ろう。早く帰りたい。
「…なんねお前」
「初めまして。僕はイルミ。ゾルディック家の長男で、サヤカの元カレでーす」
…
…
くるっ
スタスタスタ…
…ガシッ
「待つねサヤカ」
いい痛い痛い痛い
掴まれた肩が痛いよフェイ!
「こいつといい、鎖野郎といい…お前の男の趣味一体どうなてるか」
「あは、良い趣味してるでしょー、強い人ばっかり〜…あはは」
イルミはともかく、クラピカまでおかしな奴扱いに。
ごめんよ、クラピカ。