フェイタン短編.1

□小さな恋人
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「一体いつになたら元戻るか」

「…1ヶ月」

「イカゲツ…」


そんなに長いのか。
と愕然としていたら、隣から悲鳴と共にガタンと音が響いた。


「いたた…」

「サヤカ!なにしてるか…」

「椅子から降りようとしただけなんだけど…飲み物入れようと思って」


体は小さくなっても中身はそのままなので、いつも通り椅子から降りようとして落ちてしまったんだろう。


「今のサヤカ子供ね、前と同じように動いたら怪我するね、注意するよ」

「うーん、難しいなあ…」

「シャルナーク、これ体に悪影響ないダロな、あたらお前…」

「それはないよ、ちゃんと確認済みだから大丈夫。さすがにそこまで怖い物なら仮宿の冷蔵庫に置かないし」


それを聞いてとりあえずは胸を撫で下ろした。


「除念師見つけてやるから元気出すね、1ヶ月も待たせないよ」


しゅんとするサヤカにそう伝えた。
…が。



……



「ようフェイ」

「…フィンか」

「フェイがいるならサヤカもいるんじゃねぇのか?ハンター業の方か?」

「…いるね」

「は?」


指差した先には、ジャンプしながら積み木を物凄い高さまで積み上げては倒す幼女の姿。

きゃっきゃと走り回り、そこらじゅうに落書きをしまくる、それを見たワタシは幼少期のサヤカは『破壊神』だと心の中で名付けた。

そう、あの柔軟性と適応力を併せ持つサヤカが、これしきのこと?でいつまでもしゅんとしているはずがなかったのだ。


「なんだあのガキは!?」


それが聞こえた破壊神はこちらに走ってきた。


「フィンだー!!」

「俺のこと知ってんのか?…そういやサヤカに似てるような気が」

「フェイとサヤカの子供でーす!」

「そうか、どうりで似てると……ハァアアーーー!?」

「いやちが「フェイてめえ!いつの間にガキまで作ってやがったんだよ!物には順序ってもんがあるだろうが!」だからちが「かわいそうになあ!こんな凶悪なパパで、もうこんなに育っちまって、育ち……あれ?フェイとサヤカのガキにしてはでかくねぇ?」だから違う言てるね…」


フィンの声がでかすぎて静止が困難だった。

疲れるねコイツ…。




フィンに一連の流れを説明した。


「それならそうと早く言えや。ちょっとさっきの俺恥ずいだろ」

「お前が勝手に言ただけね」

「フィンー!高い高いしてー!」


フィンの前で両手をあげて待っているサヤカ。


「なんだあ、中身までガキになったのかよ?」


そう言いながらも笑いながらひょいと抱える。


「わーい!高い高ーい!」

「サヤカ、俺が肩車してあげよっか?」


気味悪いニコニコ笑顔のシャルナーク。


「……いや、いい。フィンにしてもらうから」

「ひどいサヤカ!そんな汚い物でも見るかのような目!」

「シャルナークは女と見ると見境ないからな。サヤカは野生の勘でそれ察知してるね」

「俺はロリコンじゃないよ!」


フィンはサヤカをいやらしい目で見ていない、それはワタシにもわかる。
だからサヤカも無意識のうちに安心してるんだろう。
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