フェイタン短編.1
□永遠
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「…なんね」
「いや、お前それサヤカにプレゼントするって、どういう意味かわかってるのか?」
「…ハ?欲しがてるからやりたいだけね」
「いや…サヤカは別にそういう意味で見てたんじゃないと思うがな…。で、お前はサヤカがその服を着たとこを見たいのか?」
「なんね、意味わからないね。あんな不細工が着るよりサヤカが身につけた方が100億倍きれい思ただけよ」
「……お前、相当だな」
ああ、これは教えてやった方が良いのか?でも第三者の口から言うのはなあ…
と、マチが小声でぐちぐち言い出したのでイライラして来た。
「金なら払うね、だから作れ」
「お前、なあ…それが人にものを頼む態度か!?一瞬でも私がサヤカだと思って話してみろ、そしたら少しはマシになるだろ!」
「無理」
お前サヤカ違うからな。サヤカ以外は以下同文よ。
「っ…たく…。金はいいよ。お前の物なら踏んだくってやるとこだが、サヤカのなら材料費だけで良い」
サヤカのためとなれば、こいつですら一肌脱ぐか。
やぱりサヤカはすごいね。
「で、どんなのが良いんだよ?」
「…なにが良いかわからないね」
「そんな難しく考えなくて良いだろ。サヤカに似合いそうな物を想像したら良いんだ」
「サヤカならなんでも似合うね、だから困てるよ」
「ハイハイハイハイ!!…はぁ。参考になるカタログ持って行ってやるから、仮宿に来い、そこでサヤカに『特に』似合いそうなデザインを決めろ」
「わかたね」
そう言って電話を切る。
これでなんとかなるだろう。
…しかし、マチはなにをあんなに口籠っていたのか?
あの服をやることに、なにか特別な意味でもあるのか?
気になったので携帯で純白、真っ白、ドレス…などのキーワードを入れ検索をかけてみた。
すると出てきたのは…。
『wedding dress』
それらのURLを叩いてみると、そこにはまさにあの時に見たようなドレスがたくさん出て来た。
…これは、ウェディングドレス、という物…。
今度はウェディングドレスで検索してみると出て来たのは…。
『結婚式、婚礼の際に着用するドレス』
…
……
「け…結婚……」
結婚くらいは知っている。
いや、聞いたことくらいはある、程度だ。
なぜなら自分には家族もいなければ、周りにもそれをしている奴はいないし、話題に出たこともない。
…第一、結婚とは好き合ってる男女が2人で暮らすこと…ではないのか??
それだけではないのか?
わからなくなり、次は結婚とキーワードを入れ検索した。
その説明文には。
『籍を入れることで婚姻が成立する』
……籍。
自分は流星街出身だ。
存在しない街であるそこに捨てられた者、生まれた者も存在しない者とされる。
つまり、戸籍がない。
…
……
ならワタシは…
サヤカと結婚
できない、か……?