フェイタン短編.1

□嵐の夜
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「大丈夫シャル?迷惑かけてごめんね」

「フン!甘やかすないね、どうせ役得とか思てるよ」

「ひどいなあ(…ラッキー)」

「……お前今絶対ラキー思たね」

「えっ?思ってないよ」

「…そういう顔してたね」

「こんな暗がりなのにフェイタンてば視力良いんだね、はは」

「殺す」


なんかよくわからないけど険悪な雰囲気になって来た。
よおし、こういう時は空気を和らげないと!
とそこで、良いアイテムが。


「フェイ、フェイ〜」


フェイの肩をトントン叩いて振り向かせると、私を見たフェイがほんのほんの僅かだけどビクッとした。

人間て顔の下から懐中電灯当てると、本当怖くなるもんね、うん。


「あ、今ビクッてなったー!」

「な、なてないね」

「またまたあ、私にはわかるもんねーふふっ」


なんか他にも面白アイテムがないかと探っていると、今度は私が肩を叩かれた。


「サヤカ、サヤカ」

「んー、なに…ぎゃー!!!」


振り返った先には髑髏を被りそれを下から懐中電灯で照らすフェイ。

ホラーのクオリティ高すぎる。


「な、なんでそんなのあるのー!」

「さあ?そこにあたね」

「さあ?って!絶対それいつぞやに拷問してお亡くなりになった人のだよ!」

「まだいくつかあるよ」

「リアルホラーやめてー!」

「おいそこ、遊んでないで火つけるの手伝えや」


フィンが近付いて来てマッチを手渡される。


「蝋燭につけたら良いの?」

「ああ」


私たちが遊んでるうちにいつの間にかみんなが蝋燭を持って来てくれたらしく、そこに集合する。

よーし、つけるぞ!

と思ったけど。


「う〜んっ…」

「…サヤカ、手震えてるね」


マッチを擦ろうとする手がプルプルする。

いやっ、なんか怖くない?
マッチ擦るのって?
昔から苦手なんだよね!


「手に火つきそうで怖い〜」

「あんなけ戦い慣れといて今更マッチの火なんか怖くねえだろ!」

「ゔー、いや、それとこれとは別っていうか…」


がんばって擦ってみるものの、力が足りないのか単に下手なのかスカスカして火がつかない。

もたもたしているとフェイが私の手に自分の手を重ねた。


「も少し力入れるよ」

「う、うん。こう…かな?」

「そね、そのまま擦たら良いよ」

「あ、でも怖いよ、フェイの手に火つきそうで」

「ワタシ火くらい平気ね、サヤカの手にはつかないようするよ」

「やだあ、フェイが痛くなるなら私が痛くなった方が良いよ!」

「その台詞そのまま返すね」

「フェイ…」

「サヤカ…」

「ダアアアアーーーッ‼︎‼︎‼︎」


フェイにマッチのつけ方を手取り足取り教えてもらっていると、フィンが咆哮した。
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