フェイタン短編.1

□嵐の夜
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「こんな非常時にまでイチャイチャしてんじゃねえ!バカップル!」

「え、イチャイチャなんてしてないよ?フィンがマッチつけろって言うからがんばってるのに」

「放とくね、最近女にフられて欲求不満なだけよ」

「それ言うな!」

「え…そうだったんだフィン。なんかごめんね?」

「謝んな!なんか余計辛くなるわ!!」


フィンが暴れ出したのでやれやれと息を吐いたフェイが私からマッチを受け取った。

そしてそれを指の間に一本ずつ挟み、一気にジャッと火をつける。


「す、すごーい!」

「フェイタンは拷問の時蝋燭を明かりにするからつけ慣れてるんだよ」

「すごーい!さすが拷問慣れしてるー!」

「そこ褒めるとこなの?」

「フェイ、今のもっかいやって!もっかい見たーい!」

「……」

「ダメだよサヤカ、マッチもそんなたくさんないから、小分けにして使わなきゃなくなって後が困…」


ジャッ!


「てフェイタン!!」

「わー!やっぱりすごーい!」


ジャッ!


「きゃー!面白ーい!」

「ちょっとフェイタン!やめ、やめてー!」





というわけで、見事にすべてのマッチがなくなった。


「ああもう、どうすんのさ一気に消えた後ー!」

「仕方ねえよ。フェイの奴サヤカに頼まれると断れねえから」

「…うるさいよ脳筋」

「てめえ、人がフォローしてやってんのに!」

「まあまあ、良いじゃないみんな。たくさんついたおかげで明るくなったんだし!」


だから消えた後のことは消えた時に考えよう、うん!

…というわけで部屋に明かりが灯り、これで暗闇から解放されたから一安心!

…と思ったんだけど。

実はもっと重大な問題があった。





「あ…あ、つ、い……」


そう、今は真夏なのだ。

なのに停電して電気がつかない、イコール、エアコンがつかない。

真冬ならこのコンクリが熱を溜め込んであったかくなって耐えられるだろうけど、今はそのコンクリのせいで更に暑い。


「ゔああ〜〜もう無理、死ぬ〜〜」

「死んだらダメね」

「溶けそう〜〜フェイ〜、私が溶けたら形成し直してね〜」

「ハイハイ、わかたね」

「干からびそう〜〜、干からびたら水かけてあげてね〜〜」

「ハイハイ、ちゃんと水戻ししてやるから安心するよ」

「つうか、暑いなら離れてろよ!」


と、言われた今の状況とは。

蝋燭を囲むようにみんな円になって、瓦礫をイス替わりにして座っている。

そして私はフェイに膝枕をしてもらっている!


「無理〜、自分で座ってる力がもうない…」

「サヤカ暑いの苦手ね」

「うん…フェイは暑い時でも涼しい顔してるよねぇ」

「暑いのわりと得意ね。寒い方が苦手よ」

「私は寒い方がまだマシだあ〜、あーゔーあー」

「しかし確かに暑いよな。これはたまんねえよ」

「ほんと、フェイタンよくそんな服着てられるね」


暑そうに服をパタパタさせるフィンとシャルが言う。
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