夢小説長編「ハピネス」(完結)

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朝陽が登る前にイルカさんのアパートを出る。






「よぉ!朝帰りか!?」



「ゲンマさん。ゲンマさんこそ朝帰りですか?」




「ん、まぁそんなとこだ。
お前…イルカと出来てんのか?」





「出来てません」




「カカシと喧嘩でもしたか?
それとも無理矢理ヤラレそうにでもなったか?」




「……。」




「その顔は…図星」




ゲンマさんと一緒に歩きながら話してると石碑に沢山名前が書かれた場所に辿り着いた。





「…俺ら忍は死と隣り合わせで生きてる。10代で命を落とす者も沢山いる。お前がいた世界はどうだ?」




「私の…いた世界は…。
自分で命を絶つ者が沢山いて。
物が溢れかえり何が大事で、何が必要じゃ無くて…。
分からないまま大人になって」




「カカシのオヤジさんも自ら命を絶った…。
親しい友を戦争で亡くし…自分の手で殺めた…。
師も戦死した。
大切なモノを沢山無くした…。
色んな女を抱くけど本気で愛せる女はいねぇ…。
もう大切なモノを無くしたくないからな…。」






「それでも…温もりを求めるから女を抱くんですよね?
それとも唯の欲を吐き出す為ですか?」







「両方…だな…。
特にカカシの場合は危険な任務を幾度となくこなす。
女を抱く事で生きてるって実感するんだろうな。」






「実は…カカシさんと出会ってまともに顔見たこと無いんです。
この間少しだけ見たんですが…。」




「は?」




「何か怖くて見れないんです。
全てを呑み込まれてしまいそうで…。変ですよね…。
昨日…イルカさんに一緒に暮らしませんかって言われました」





「マジか?」




「私…一人で生活出来る様に綱手様にお願いします。
カカシさんともイルカさんとも…一緒に居たら甘えてしまいそうで。」





ゲンマさん一礼してその場を後にした。








「だとよ…カカシ。
イルカに全部持って行かれちまうぜ?」



木の影からカカシが姿を現す。

『……別にオレは…。』



「ま、俺がもらっちまっても良いけどなぁ…。」




ゲンマは千本を揺らしながら去って行った。





『……。』






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