夢小説長編「ハピネス」(完結)
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「カカシ!ねぇカカシ!痛いよ!腕痛い!!」
沙奈の泣きそうな声に我に返ったカカシ。
沙奈の腕を見れば手首にクッキリと自分が掴んだ後が赤く残っている。
『…ゴメン。帰ろう…』
「…もしかして私がヤキモチ妬かないって言ったから怒ってる?」
図星…。
『オレはお前だけに好きでいてもらえたら良いんだヨ』
「すっごい殺し文句…。流石カカシ」
『本気だから』
「右目しか見えてないのに…卑怯…何その色気」
『茶化さないでヨ』
「私たちさ…まだ付き合ってちょっとしか経ってないんだよ?」
『だから何?付き合った期間とか知り合った時期とか関係ある?
じゃあ何でオレに助けを求めて…オレの名前を呼ぶの?』
俯く沙奈。
困らせたい訳じゃない。
いつも笑顔をみたいだけなのに。
「…この世界で生きたいと思ったのはカカシが居てくれたから」
『じゃあ、何で出て行くなんて言うの?』
「独りで生きて行けるようになりたいの」
『でも出て行くなんて言わなくても』
「……私をダメな女にしないで。自分で生きて行くって決めたんだからちゃんと生活しないと」
『甘えてヨ』
「…甘えてるよ…。けど…もしカカシが死ん……」
言葉をのみ込む沙奈。
カカシが死んでしまったら……。
きっと私は壊れてしまう。
依存すればする程…その時の、失ってしまった時の苦しみ、悲しみは途轍もなく大きい。
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