ブラコン夢
□次女の物語
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《次女視点》
「今見てきたところが全部かな」
「ありがとうございます、祈織さん」
祈織さんとの〔近くのお店巡るツアー〕が終了して私たちは朝日奈家のマンションに戻ってきた。
「じゃあ僕はこれで。バイトがあるしね。」
「そうですね、ありがとうございました。」
そういって爽やかに祈織さんは来た道を歩いて行った。
「一葉ちゃん、お帰り〜」
声がした方を振り返ると、空と右京さんが並んで歩いていた。
「お帰りなさい、一葉さん。そろそろ夕食ですので、リビングに来てください。」
「わかりました。…あの、」
「?なんですか?」
「この辺が荒れているのはなんでですか?」
なぜか玄関付近には誰かが派手に転んだように荒れていた。
「そういえばそうだね…。なんでかな?」
「まあ、私が後で掃除しておきます。今は夕食にしましょう。」
まあ、細かい事を気にしても仕方がない。それに、朝日奈家のテリトリーに踏み込むのも悪いし。
「そうですね。じゃあ、行きましょうか」
「いえ、あなたたちは先にリビングに行っていて大丈夫ですよ。あとは私1人で十分です。」
そういってもらえるとありがたい。隣の空は不満顔だけど、ここは引きずってでも退散しよう。
「そうですか、では私たちは先に「あれ?京兄と…もしかして新しく来た三姉妹ちゃん??」どちら様でしょうか?」
金髪ピアスのハデなお坊さんが目の前に現れた。最近のチャラい人にはお坊さんのコスプレが流行っているのかしら…
「要、お帰りなさい。こちらは早坂さんの娘さんの空さんと一葉さんです。二人とも、この軽そうな男は朝日奈家の三男の要です。こんな見た目ですが、れっきとしたお坊さんです。」
「京兄ひどくない!?はじめまして、三男の要です。あ、そういえばさっき玄関で末っ子ちゃんにあったよ。かわいかったな〜」
「二葉にあったんですか!?」
私は驚いた。隣を見ると空も驚いている。
「うん。かわいかったな〜。思わずキスしちゃったよ。」
この瞬間、時間が止まった。
「要!!またあなたは…!」
右京さんがこのケダモノを叱っている声が聞こえたが、そんな事はどうでもいい。ただひとつ重要なのは
二葉にキスをしやがったこと
「テメェあたしのカワイイ妹になにしてくれてんだぁ!!」
そういって──空がケダモノにボディーブローを決めた。